プラットフォームへの参画企業を500社へ

デジタル人材の底上げを図りたいと語る安田氏
――話は変わりますが、御社のプラットフォーム構想を実現するにあたっては、デジタル人材の獲得は重要なテーマだと考えます。
安田氏 この点は社内でも課題の一つで、早急な育成は難しいものがあります。情報システムの部門では専門人材を雇用していますが、当社のテーマとしては全体のITリテラシーの向上を掲げています。髙宮一雅社長からは、「デジタルネイティブ世代を活用すべき」との指示があります。彼らは生活の中で常にデジタルに慣れ、無駄を嫌い、効率化重視の世代です。「だからこそ、彼らから学ぶことは重要である」とも髙宮社長は話しており、今回のプラットフォーム事業や「Innovation Hub」のオープニングセレモニー関するプロジェクトについても、なるべく若手の声を拾い上げ、今回のオープニングイベントではほぼ若手中心で実行し、成功を収めました。
また、当社では通常賞与とは別にインセンティブ賞与がありますが、インセンティブの中にはDXやデジタル化の取組み項目があり、そこに原資をつけています。KPIを設定し、達成した社員に対しては別枠でインセンティブとして支給しています。数年実施してきましたが、このインセンティブにより社員のDXやデジタルへの取組みは、ようやく定着してきているように感じています。教育だけでは底上げは難しいため、社員一人ひとりが同じ方向に関心を持てるような仕掛けづくりが必要です。
――これからDX企業など様々な会社との協業・連携の局面も出てくると思いますが。
安田氏 これからプラットフォームの拡大に伴い、「付加価値の向上」が重要なテーマです。たとえば、アプリケーションの開発、機材Baseの機能を高める倉庫の自動化・機械化、ロボティクス、IoTの分野での課題解決は当社単独では難しい。ベンチャー企業も含めて、今申し上げた分野に明るい企業との協業連携に踏み込みたいと考えています。
――建設業界の2024年問題についてどうとらえていますか?
安田氏 労働者不足などの要因により、当社としては従来通りのサービスを提供できなくなるリスクを感じ取っていました。そこでプラットフォームの提唱や「Innovation Hub」を開設した経緯があります。
2024年度から時間外労働の制限が法律で定まっていますが、足場業界のみならず建設業界全体で働き方改革を推進すると、業界全体のリソースが不足、工事の遅延、長期化が発生します。今、ゼネコンの中には自分たちのリソースの範囲内でしか工事を請け負うしか方法がないとの声もあります。一方、利益率の向上も念頭に置いているため、選別受注を余儀なくされています。
また、物流業界、機材センターで働く職人、足場鳶職人の方々が高齢化し、若手が建設業界に入職しなくなってきているため、そこで自動化・機械化を進めていかないと、サービスを提供できなくなる時代が到来すると思います。
だからこそ、「Innovation Hub」で研究開発した内容は市場にどんどん出していきたいと考えています。ここで研究している内容は、いずれも足場や建設業界の課題をどう解決していくかにつながるものです。今は具体的に申し上げられませんが、業界を一変させる内容のものもあります。このあたりは発表できる段階になりました逐次公表予定です。研究施設ですから、研究開発は毎年実施し、展開していきます。
――髙宮社長は「未来に足場はない」という刺激的なメッセージも出しています。最後に、タカミヤの未来についてお話ください。
安田氏 プラットフォームについては「Takamiya Lab. West」の新施設「Innovation Hub」が完成したことで、業界でも理解が進み、浸透していっていると感じます。プラットフォームのユーザー数も、現在の50~60社から10倍にしていくという挑戦的な目標を掲げていますが、当社は可能だと考えています。一定数まで増えると、加速度的に入会が進展していくでしょう。もし500社の登録が実現した場合、機材Baseの役割が重要になりますが、まだ十分に整備されていませんので、この2年間でしっかりと準備していくつもりです。
Takamiya Platform VP / YouTube(TAKAMIYA)
プラットフォームの拡大により、足場の販売・レンタルの業態についてはなくなっていく可能性があります。今も足場をレンタルするほうが購入するよりも効率的です。ただし、レンタルするよりも「タカミヤプラットフォーム」に入っていただいたほうがメリットがあると思っていただけるような仕組みを必ずやつくっていきます。
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