まず、現場に行け!
現場で作業員の人達とコンクリート打設作業や各種の立ち会い等に関わっていると、現場作業員の人達との距離が近くなりコミュニケーションも図れます。会社の先輩達からも言われていたのは、「まず現場での作業員の人達とのコミュニケーションを図ることが、現場を知り、作業員の人達に耳を傾けてもらえるための一番の近道だ」ということでした。
上司の考え方も「まず、現場に行け!」という方針でしたので、昼間必要なこと以外で事務所にいると「昼間に事務所にいるな!」と怒られました。
最初の現場でも、先輩から「わからなくてもいいから毎日ベノト杭施工の現場に立合いしていろ!」と言われて、すべての杭施工に立ち会いました。最初は施工している状況をただ見ているという状態でしたが、そのうちケーシンの挿入状況から、何本目が抜けて支持層に到達したとか、ケーシング挿入にどの程度の杭打機が楊動をかけているかがわかるようになりました。
また、現場管理以外の机上業務においては、当時はまだドレッシングペーパーへの手書きで作成していた土木図面(実線を裏に、細線・寸法線を表に書いて作成)を、先輩にビリビリに破られてごみ箱に丸めて捨てられたこともありました。「まず、図面を大切に扱うこと!」と体験を通して土木技術者としてのノウハウを教えられた現場でした。
いい古された言葉ですが、「鉄は熱いうちに打て!」と言います。最近はすぐに建設業を辞めたがる若者もいるようですが、もっと現場の作業員の人達との人間関係を上手く構築できるようになれば、もっと仕事の面白さが見えて来て、物を作るという仕事に興味が湧いて、若手建設技術者たちの定着率も高くなると思います。
今回、私の現場経験を元に電力土木の一環として、安定供給を担う送電線基礎工事について紹介させていただきました。特に送電線基礎工事については、土木工事と言っても特殊な部門になることから認知度は低いと思います。そのため、少しでもその一端をご紹介できればと考えました。昨今の電力自由化にあたり、送電線鉄塔建設の需要は伸びています。
建設技術者の養成方法を含め、施工性・安全性は私が経験した時よりも飛躍的に向上していますが、それを支えるのは最後は技術者です。これから建設技術者を目指す若い人達にとって、一つの参考情報として生かしていただければ幸いです。