深刻すぎる施工管理技技士の県外流出
北陸地方にある建設会社A社の社長談
■首都圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)や東日本大震災(宮城、福島、岩手)の被災地などに仕事が集中し、地域建設企業はアベノミクスの恩恵から置いてきぼりをくらっている。
■全国建設業協会の近藤晴貞会長も「いいのは東京だけ」と言っている。
■首都圏との給与格差が拡大し、地域建設企業から首都圏に施工管理技士が流出している。
■新入社員を確保するどころか、施工管理技士の人数を維持することすら厳しい。
■公共投資への依存度が大きいので、国や県は収益性を確保できる公共事業を毎年発注してほしい。
北陸地方にある専門工事会社B社の社長談
■北陸は豪雪地帯だから、除雪に伴う作業が多いが、除雪は収益性が悪いため、冬期は首都圏に出稼ぎに行く技能者が多い。※除雪の採算性が黒字なのは、国交省49%、道府県43%、市町村30%
■出稼ぎによって首都圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)や東日本大震災(宮城、福島、岩手)との給料格差の実態を知ってしまい、そのまま首都圏や東北地域に定住する建設技能労働者が多い。
■出稼ぎしない場合、昼は現場、夜はコンビニで働く建設技能労働者も増えた。
■地域と首都圏の格差が拡大すれば、技能労働者の流出が止まらない。
■国や県は公共工事を増やしてほしい。
発注者の県職員談
■公共事業の氷河期時代に必要な技術職員の採用を抑制した結果、監督員の監理技術が伝承されなくなった。
■今後、公共事業が増えても、監理できる職員が少なくなる危機感が強い。
■施工管理技士の資格を取得した職員を確保しなければ本県も厳しい。
■本県の公共事業投資額は平成8年度がピーク。平成26年度と比較するとマイナス51%。
■除雪や災害復旧で頼りになるのは地域建設企業なので、公共事業投資はそういう意味でも必要。
■公共事業関係費拡充に向けた政治解決を国に働きかけている。
つまり、
公共工事投資額の減少 ⇒ 地域建設企業の減益 ⇒ 首都圏との給与格差 ⇒ 施工管理技術者の流出 ⇒ 地域建設企業の倒産・減少 ⇒ 全国建設業協会会員企業の減少 ⇒ 災害対応空白地域の拡大 ⇒ 応災力の低下
という負のスパイラルがあったのだ。これは自然災害に緊急対応できない地域が増えていることを意味する。
経審が悪い