海の潮で材料は使い捨て
2つ目の要因は、材料費が多く掛かったことが考えられます。
型枠に使ったパネル、鋼管、ファイバー、ホーム帯、ピーコンの材料を、海にずっとさらしておく期間を頭に入れていなかったため、材料費の出費が多くかかってしまったのです。
作業員の方々にとって、材料はとても大切なものです。それをこの現場でダメにしてしまうのですから、当然材料費は管理会社が持つことになります。
今回型枠をおこすのに使った材料は、生コンを打って養生を置く期間、海に1週間はさらす状態になるわけです。その結果、潮の影響で使い物にならない状態に劣化します。
特に鉄製の材料は、もろに海の影響を受けます。柱9本分の型枠に使った材料すべては、この現場で使えなくなるという事です。そしてその材料費が余計にかかってしまったことも、儲けが出なかった要因として挙げられます。
生コン工場の予定が合わない
そして、3つ目の要因は、必要なときに生コンをおさえる事が出来なかったことです。
型枠をせっかく起こしても、生コン打ちを行いたい日に、生コン工場が混んでいて日程をずらされるということが多くありました。
これは完全に私のミスでした。あらかじめ施工計画から逆算して、大体の型枠起こし完了の日を考えて、生コンをおさえておくべきだったと反省しています。
作業員の方のペースを見ながら、生コンをおさえようと思っていたのですが、こういった現場では生コンが取れる日をあらかじめおさえて、それに間に合うように作業員の方に協力してもらう体制をとるべきでした。作業員の方に無理を言うようですが、そうしなかったために稼ぎが出ない現場となってしまいました。
私にとっては、施工管理技士として成長する、とても良い経験になりました。
リスクヘッジの能力が高い施工管理技士
民間の仕事で、牡蠣屋や水産の建物補強工事をお願いされる建設技術者は意外と多くいると思います。引き受けるからには中途半端な施工は出来ません。
しかし、海の近くの建物は、潮の影響でやはり劣化が早く進みます。普通の工事とは違い、色々な問題が出てくるのが海辺での仕事です。どんな問題が出るのかを予測できるリスクヘッジの能力が施工管理技士にとって不可欠ですが、海辺での現場では特に、その施工管理能力が必要になります。