追加工事か補修工事かは大問題
建設工事は請負契約をもとに行われますが、契約当事者間でトラブルが発生する場合があります。たとえば、その工事が追加工事なのか瑕疵補修工事なのかは、当事者双方にとって大問題です。
まずは双方で話し合って解決を図りますが、その見込みがなくなれば裁判で解決することになります。訴訟になると、解決に長い時間や費用がかかることもあります。
このような司法による解決よりも迅速な紛争解決手段として準司法的機関があります。建設工事紛争分野の準司法的機関が建設工事紛争審査会です。国土交通省と各都道府県の計48か所に設置されていますので、実は身近な存在といえます。
マンション工事34か所の瑕疵を判別
たとえば、建設工事紛争審査会の仲裁事例で、マンション新築工事において34か所もの工事瑕疵を訴えた事例があります。裁判なら長期化しそうですが、審査会では迅速に仲裁に至ったようです。
まずは、瑕疵を見てみましょう。一部を抜粋します。
- 1階ピロティ内のコンクリート床が水勾配不良でかつ凸凹があるため、雨水が排水せず水溜まりができる。
- 2階ベランダは、3階から2階へ通じるルーフドレインの位置と、2階から1階へ通じるルーフドレインの位置が、ベランダの両端に離されて取り付けられており、しかも、2本のルーフドレインの間のベランダ床の水勾配が逆になっているため、まったく排水できない。
- 1階ピロティ排水口がモルタルでつまっており、排水が困難なうえ、淵アングルの取り付けがないため、グレーチングの取りはずしが困難である。
- 1階玄関ホール部の配管隠ぺい工事がなされていない。
- ガス配管埋設工事がなされていない。
- 西側にドブ川があり、危険なのでフェンスを付けることになっていたが、取り付けていない。
- 便所の便器の位置が適切でなく、排水管が故障している。
- 洋室の入口ドアおよび浴室のドアがしまらない。
- 2階のキャンテ部分の部屋が下に曲ってきたので、やり替え工事をする必要がある。
- 各階台所に換気孔がまったくないため、湯沸器の使用が危険である。
- 2階浴室は1階に通じる階段に面しているため、ドアの開き勝手が逆になっていて使用上危険である。
発注者と請負人はマンション新築工事契約を締結しました。見積金額は当初は6,960万円でした。しかし、発注者の予算は建築工事費4,800万円、設備工事費1,200万円、造園工事費120万円が限度とのことであり、協議のうえ、建築工事費を4,800万円の範囲内とするために、当初の見頼りよりも20%程度品質を低下させた見積りを再提出しました。
契約書には「使用上、外観上支障のない限りにおいては、仕様変更があり得るものとする」と記載していました。また、請負人の言い分として、「発注者は、膨大な写真を示して、工事にミスがあるとの主張ばかりをして、追加変更工事を手直し工事とするように求めるなど、誠実な交渉を行なおうとしなかった」というような気持ちのすれ違いもあったようです。

画像はイメージです
このオジサン面白い記事書くなぁw
私的には好きです!
建設工事紛争審査会って国交省の管轄組織ですよね。余計に発注者側が有利な結末にされるのでは?
ちゃんと、弁護士に頼んで司法の場で白黒つけた方が良いと思いますがね。
なんなら、メディアも使いましょう。