施工の神様 powered by 施工管理求人ナビ
  • 施工の神様とは?
  • 記事掲載・取材をご希望の方へ
  • キャリアを考える
  • インタビュー
  • 失敗を生かす
  • 技術を知る
  • エトセトラ
  • 資格を取る
  • 建設用語

「ネガ修正職人」が教えてくれた工事写真の奥深さ。現場で“使えない”写真を量産しないために

  • 失敗を生かす
  • 技術を知る
野口 英郎 野口 英郎
公開日:2026.02.19
  • シェア
  • Tweet
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 0 コメント
  • メールで共有
「ネガ修正職人」が教えてくれた工事写真の奥深さ。現場で“使えない”写真を量産しないために

建設現場に従事する者なら、ほぼ全員が現場で何かしらの写真を撮ったことがあるだろう。最近は誰もがスマホを持ち歩いており、いつでもどこでも撮影ができる。しかし、それが「建設現場の正式な記録写真」となると話は別だ。相応の神経と配慮がなければ、真に役に立つ工事写真は撮れない。

エラそうなことを言っている私も、工事写真では何度も失敗を経験してきた。おそらく、建築現場の工事写真で一度も失敗したことがない人など、この世にほとんどいないのではないか。それほどまでに”文句の付けようのない完璧な一枚”を収めるのは難しい。

そもそも、なにが難しいのか。どんな工事写真が「失敗」なのか。その意味を掴めていない若手もいるかもしれない。今回、改めて工事写真について書こうと思ったのは、ある現場での出来事がきっかけだった。

散乱する「使えない」工事写真たち

2週間ほど前、新しい現場に着任した。施工管理を担当しながら、生コン打設の立ち会いと並行して、サブコンから提出された過去の工事写真の整理・確認を任された。

ところが、資料を見はじめて愕然とした。工事写真と添えられた情報が、あまりにも稚拙なのだ。全体がまるで風景写真のようで何を撮っているのか判別不能なもの。メジャーを当てているが数値が読み取れないもの。ほかにも説明文が間違っていたり、情報が不足していたり…。

ほとんどの工事写真にコンサルタントが立ち会っているため、「コンサルが認めているから」と言い訳はできるかもしれない。しかし、肝心の氏名や所属が明記されていない資料がほとんどだった。これは一枚ずつ確認者を明確にしておかなければ、後々大きな問題になる。

書類の体裁もバラバラで、統一感がない。何より、これを受け取っていながら長い間放置していた我が社(元請け)の不手際も指摘せざるを得ず、「どうしたものか…」と頭を抱えてしまった。

要求レベルの基準となる「標準ひな型」さえ存在しない組織だったため、まずは疑問点や間違いを改めた資料を付け加え、とりあえず合格点が取れるレベルまで引き上げることからはじめた。過去の工事写真を撮り直すことはできないため、どうしても不適切な工事写真は削除し、説明文の修正と追記を中心に作業を進めている。

「強い工事写真」を撮るための心得

修正作業をしながら、私は改めて痛感した。そもそも、撮る段階で勝負は決まっているのだ、と。

後から説明文で言い訳をしなくても済む「強い工事写真」を残すには、どうすればよかったのか。

私の経験を踏まえ、「工事写真の心得」を記しておきたい。

【心得1】撮影者の知識が「質」を決める

工事写真を撮る大前提は、撮影対象が「正しく施工されていること」だ。 正しく作業が進んでいるかを確認するのは施工管理者の役目だが、工事写真を撮る人間にもそれと同等、あるいはそれ以上の知識が求められる。

たとえば、鉄筋の配筋写真を撮る際、特記仕様書や標準仕様書の内容が頭に入っていなければ、現場で「正しくできているか」の判断さえつかない。昨今は機械式継手や定着金物、圧接、溶接なども細かく区分され、事前の技能検査さえ求められる。

使用する鋼材の種類や、部位別の生コン強度が継手・定着長にどう影響するか。それを理解していなければ、撮影場所の選定すらおぼつかない。「ここならどこを撮っても大丈夫だ」と自信を持って言える場所を探し、必要であれば前日に職人へ指示して修正してもらう。工事写真は、シャッターを押す前の準備で勝負が決まるのだ。

【心得2】余計なものは一切排除せよ

一言で言えば、「写したい対象に可能な限り近づき、余計なものを一切写さない」ことに尽きる。 ツッコミを入れられる隙を徹底的に排除することが大事だ。

とくに対象物の背景には最大限の注意を払わなければならない。周囲の床に資材が散乱していないか。整理整頓はなされているか。関係のない作業員が写り込んでいないか。必要であれば、看板を立てて隠すくらいの気配りも必要だ。


「たかが工事写真じゃないか」と、その重要性を理解していない人は多い。たしかに昔ほど細かい指摘を受けることは少なくなったかもしれないが、私には忘れられない思い出がある。

私が20代後半の頃、公共工事の写真を撮った際、看板の日付を間違えてしまったことがある。当時はまだフィルム(ネガ)の時代だ。驚いたことに、当時はネガを修正する専門の職人がいた。ルーペを覗き込み、ネガの表面をわずかに削って文字を書き直す。その仕上がりは周囲の文字と全く遜色がなく、これぞ職人技だと驚愕した。

デジタル化で便利になった今だからこそ、忘れてはならないことがある。現場の工事写真は、単なる事務作業ではない。そこには、現場を預かる者の執念と奥深さが詰まっている。

建設業界で働くなら「施工管理求人ナビ」にご相談ください!
「施工管理求人ナビ」では施工管理の求人を広く扱っています。転職活動もサポートしていますので、気になる方はぜひ一度ご相談ください。
⇒転職アドバイザーに相談してみる
  • この記事をシェアする0
  • この記事をツイートする0
この記事のコメントを見る0
こちらも合わせてどうぞ!
定年後も居残る「アナログ現場代理人」は迷惑?施工管理デジタル化の功罪
定年後も居残る「アナログ現場代理人」は迷惑?施工管理デジタル化の功罪
アナログ現場代理人の苦悩 現代におけるほとんどの仕事は、パソコンやデジタル機器がなくてはこなせないものになりました。 現場代理人や施工管理技士の仕事も例外ではなく、工程表をはじめとする書類の作成、施工図の作成、施主とのメ...
失敗は御法度!?現場監督が写真にコダワル理由
失敗は御法度!?現場監督が写真にコダワル理由
写真管理の基礎の基礎 以前、ごく一部の方から写真の撮り方が好評だったため(笑)、写真管理の基礎の基礎から書いてみようと思います。 撮影方法は各者個性があるのでそぐわない場合も十分あります。しかし、合わないからと言って拒絶...
「風化したDX」の再建。1日1〜2時間分も業務削減した安全書類DXの舞台裏とは
「風化したDX」の再建。1日1〜2時間分も業務削減した安全書類DXの舞台裏とは
『安全書類』にまつわる現場のストレスは極めて大きい [caption id="attachment_81706" align="alignleft" width="1200"] 中村建設の書庫。安全書類は、1現場だけでキ...
「こんなんいらんやろ!」と思われがちな工事写真 写真管理の極意
「こんなんいらんやろ!」と思われがちな工事写真 写真管理の極意
こんなんいらんやろ!と思われがちな工事写真 これを見た事ありますよね? 第三次基準値排出ガスと低騒音型のステッカーです。 私も昔そうだったんですが、この写真を撮り忘れるんです。 機械がある時にパッと機械の全景撮って、これ...
デジタル化で偽造書類が増加中?施工業者の収益減も影響か
デジタル化で偽造書類が増加中?施工業者の収益減も影響か
虚偽書類が増える建設業界の闇 施工管理技士が作成する書類は工事の届出や、産業廃棄物関連など多岐にわたる。そして、そうした施工管理の書類の中には、いわゆる虚偽書類が大量に出回っている。 例えば、大阪府東大阪市が発注した20...

この記事を書いた人

野口 英郎
野口 英郎
この著者の他の記事を見る
アジア、アフリカなど海外の建築現場で長年、施工管理に従事している。世界中で対日感情が良好なのは、先人たちの積み重ねである。日本人として恥ずかしくない技術者でいたい。
「ネガ修正職人」が教えてくれた工事写真の奥深さ。現場で“使えない”写真を量産しないために 「ネガ修正職人」が教えてくれた工事写真の奥深さ。現場で“使えない”写真を量産しないために

施工の神様をフォローして
最新情報をチェック!

  • フォローする5388

現場で使える最新情報をお届けします。

  • 施工の神様
  • 失敗を生かす
  • 「ネガ修正職人」が教えてくれた工事写真の奥深さ。現場で“使えない”写真を量産しないために
  • 施工の神様
  • 技術を知る
  • 「ネガ修正職人」が教えてくれた工事写真の奥深さ。現場で“使えない”写真を量産しないために

コメント(0)

コメントフォームへ

コメントする コメントをキャンセル


コメントガイドラインをお読みになった上で投稿してください。

email confirm*

post date*

あなたも施工の神様に記事を投稿してみませんか?
おすすめ記事
  • 【髙松建設】「古来の技術と新たな発想を融合する」世界最古の企業”金剛組”再生でベスト・プロデュース賞を受賞

    【髙松建設】「古来の技術と新たな発想を融合する」世界最古の企業”金剛組”再生でベスト・プロデュース賞を受賞

  • 点数稼ぎに走るのは「なんか違う」

    点数稼ぎに走るのは「なんか違う」

  • 「暗闇の先の光見て」コロナ禍の”希望のトンネル貫通写真”が心に響く

    「暗闇の先の光見て」コロナ禍の”希望のトンネル貫通写真”が心に響く

  • 「地元の人間の意地。ただ、それだけ」 家族を失ってもなお、愛する石巻の復興に命を懸けた現場監督

    「地元の人間の意地。ただ、それだけ」 家族を失ってもなお、愛する石巻の復興に命を懸けた現場監督

  • 建設業界をイヤになった主任技術者は”造園”へ急げ!

    建設業界をイヤになった主任技術者は”造園”へ急げ!

  • 人と機械はどう補完? これからの橋梁点検

    人と機械はどう補完? これからの橋梁点検

注目のコメント
  • 権力を振りかざす世間知らずの勘違い野郎どもは本当に消えていただきたいです。

    「○んでくれ」「くせーんだよ」 発注者からの脅迫・暴言集【実録】
  • 公務員なんて、甘ったれのわがまま人間の巣窟。特に、バブル世代にパワハラとかするのが多い気がする。

    「○んでくれ」「くせーんだよ」 発注者からの脅迫・暴言集【実録】
  • 34℃で湿度がどれくらいか判断出来ないが今日びの38℃超え猛暑に比べればまだまし。 皆が言う体調管理なんかで対応出来る範囲を超えている。 朝一番から警戒レベルMAXが普...

    最高気温36℃の”猛暑日”。舗装工事は中止すべきか?【熱中症対策】
  • 勝手に喫煙休憩するな→即飛び蹴り シュールなコントみたいだな

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • 辞めていいんじゃねーか? 下請けの奴隷ならともかく、大手ゼネコンの現場監督ならやりたい奴いくらでもいるだろw

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • 若くても無能なら要らない

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • そんな無能はやめた方が現場のためだよ

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • 飛び蹴りは普通に罪にならないか?

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • 休憩するなら水分取るだけで充分なのにねwタバコまで吸いに行き注意されると即飛び蹴りとはヤニ中毒は危険だな

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • 結局本人の申告によるものでしかないので、無理がありますよ。 すべての作業員さんにカメラつけて録画でもするならば別ですが。 公共工事にしろ民間工事にしろ、昔からすれ...

    「チェックシートで熱中症を防ごう!」 それができたら誰も苦労しない
  • 熱中症チェックシートは本当に不毛。 挙句の果てに、それを書いていても熱中症が発生したら「管理が甘かったからだ!」といってチェック項目を増やしたり、記入内容の真偽を...

    「チェックシートで熱中症を防ごう!」 それができたら誰も苦労しない
  • 建設業界のパワハラと言うよりは特定の会社の特定の上司のパワハラ。

    元自衛官が建設業界に転職したら、”パワハラの巣窟”でした
  • 返信した人の日本語もわかりません。 やり直し

    元自衛官が建設業界に転職したら、”パワハラの巣窟”でした
  • 建設業界って 何処に業界のパワハラをかいてるの? やり直し

    元自衛官が建設業界に転職したら、”パワハラの巣窟”でした
  • 所長が部下の人間性を否定するような現場がうまく回るはずがない。 現場は信頼関係で成り立っている。 現場の雰囲気は主に所長がつくりあげあてしまう。そのような管理職が...

    65歳以上と外国人は、全員”安全弱者”のヘルメットバンドをつけろ!? 納得できない話
  • この著者は神様とは思えないです まず、職人は工程を縮めたいんじゃなく無駄が嫌いなんです。それは管理者もだと思いますよ。 無駄=損害ですからね。

    「不仲説」 現場監督と職人
  • スーパーゼネコンの監督とは仲良くなれないな。

    「不仲説」 現場監督と職人
  • まったく現場の事を理解していない! もっと色んな事を経験して、勉強して下さい。

    「不仲説」 現場監督と職人
  • 不仲は横柄で生意気ななゼネコンのセコカンが原因だと思いますけどね。 舐められない様な教育受けているので仕方ない所もありますが。 職人さんも見栄えよりも工数へらして...

    「不仲説」 現場監督と職人
  •  不仲なら発注しない、請負わない。 お互い仕事できなくなればいい。

    「不仲説」 現場監督と職人
  • キャリアを考える
  • インタビュー
  • 失敗を生かす
  • 技術を知る
  • エトセトラ
  • 資格を取る
  • 建設
    用語
【PR】施工管理技士の転職に特化した求人サイト
施工の神様ロゴ
  • 施工の神様とは?
  • 原稿募集
  • 取材ライター募集
  • 運営会社
  • PR・プレスリリース
  • プライバシーポリシー
  • 広告掲載について
  • お問い合わせ
Copyright © 2026 WILLOF CONSTRUCTION, Inc. All Rights Reserved  リンクフリー
施工の神様