施工管理技士の資格取得するための施工管理技術検定試験
施工管理技士の国家資格を取得するためには、建設業法第27条第1項に基づいて国土交通大臣指定機関が実施する国家試験「施工管理技術検定試験」に合格する必要があります。
一定の実務経験を有した者が、施工管理技術検定試験に合格すると、国土交通大臣から検定合格証明書が交付され、施工管理技士になることができます。そして施工管理技士には、専任技術者、主任技術者、監理技術者(1級)となる資格も付与されます。
施工管理技士の資格の種類
施工管理技士の資格には、上述の通り6つの種類があり、それぞれに1級と2級があります。
施工管理技士資格の一覧
土木 | 1級土木施工管理技士 |
2級土木施工管理技士 | |
建築 | 1級建築施工管理技士 |
2級建築施工管理技士 | |
管工事 | 1級管工事施工管理技士 |
2級管工事施工管理技士 | |
電気工事 | 1級電気工事施工管理技士 |
2級電気工事施工管理技士 | |
造園 | 1級造園施工管理技士 |
2級造園施工管理技士 | |
建設機械 | 1級建設機械施工管理技士 |
2級建設機械施工管理技士 |
2級よりも 1級のほうが難易度は高いため、2級施工管理技士に合格した後、1級施工管理技士になるパターンが多いです。
施工管理技術検定試験の実施機関
施工管理技士のそれぞれの試験は、国土交通大臣が指定した下記の機関が実施しています。
◎施工管理技術試験の実施機関
資格 | 実施機関 |
土木施工管理技士 | 一般財団法人 全国建設研修センター |
建築施工管理技士 | 一般財団法人 建設業振興基金 |
電気工事施工管理技士 | 一般財団法人 建設業振興基金 |
管工事施工管理技士 | 一般財団法人 全国建設研修センター |
造園施工管理技士 | 一般財団法人 全国建設研修センター |
建設機械施工管理技士 | 一般社団法人 日本建設機械施工協会 |
上記の3団体が実施している技術検定試験に合格すると、国家資格の施工管理技士として認められることになります。3団体以外の試験に合格しても、施工管理技士として認められないので、くれぐれも似たような団体名には注意してください。
施工管理技術検定試験の受験資格
施工管理技士になるための施工管理技術検定試験を受験するには、一定の学歴や実務経験が必要です。受験に必要な実務経験年数は、指定学科を卒業したかどうかや、2級施工管理技士の有資格者かどうかなど、受験者個々の学歴や施工管理経験によって異なります。
1級の施工管理技術検定試験を受験する場合は、1年以上の「指導監督的実務経験」が必要となるなど、施工管理技士の合格を目指す場合は、まず自分の経歴が受験資格を満たしているかどうかを、各団体のホームページでよく確認してください。経歴・資格によっては、学科試験が免除される場合もあります。
施工管理技術検定試験の申し込み方法
実際に施工管理技術検定試験を受験する際は、必ず申し込み方法を確認してください。受験申込み方法は簡易書留郵便が基本ですが、再受験者の場合は、インターネットでの受験申込が可能な場合もあります。
受験申込用紙は1部につき600円です。申し込みの受付期間は2週間ほどと短いので、くれぐれも申込を忘れないようご注意ください。
施工管理技術検定試験の受験料
施工管理技術検定試験を受験するためには、受験料を支払わなければなりません。受験料を支払わないと申込完了とならないため注意が必要です。
最近では、施工管理技士の資格取得に係る費用を負担してくれる建設会社も多いので、相談すれば会社が受験料を支払ってくれるかもしれません。同じ施工管理技士の資格でも級や資格の種類ごとに、受験料が異なるので注意してください。
施工管理技士の試験科目
施工管理技士の試験は、「第一次検定」と「第二次検定」の2つに分かれています。試験内容は検定試験によって異なる場合はありますが、第一次検定ではマークシート方式、第二次検定では記述式で、第二次検定のほうが難易度は高くなります。
また、2021年4月から、第一次検定の合格者には「技士補」という新しい資格が付与されるようになりました。
これまで、施工管理技士になるには、学科試験と実地試験の両方に合格する必要がありました。しかし、今は、第一次検定に合格すると「技士補」、第二次検定に合格すると「技士」と名乗ることができます。また、技士補を取得すると、第二次検定から何度でも受験することができるのが特徴です。
施工管理技士の合格率
施工管理技士の合格率は、ここ最近のデータを見ると、土木施工管理の合格率が2〜4割、建築施工管理の合格率は3〜4割、電気工事施工管理の合格率は4〜6割、管工事施工管理の合格率は3〜6割です。土木施工管理と建築施工管理の合格率は、電気工事施工管理などと比べて、やや低めです。
1級土木施工管理技士の合格者数の推移を見ると、東日本大震災以降、土木施工管理技士の合格者が急激に倍近く増えていることが分かります。これは被災地の復興事業を中心に、土木施工管理技士の有資格者が不足しているため、政治的判断で合格者を増やしたのだと考えられています。
国土交通省はこれまで以上に資格を取得しやすくし、若手技術者のキャリアアップやキャリアステップを明確にすることで、人手不足の解消につなげていきたいと考えています。実際に2017年からは学科試験が年2回実施され、2021年には技士補も新設されました。
施工管理技士のすすめ
施工管理技士は、あらゆる建設現場において重要な役割を担います。建設会社は業績アップのために、多くの優秀な施工管理技士を採用したいと願っています。
しかし、施工管理技士の有資格者数は限られているため、企業間で奪い合いが起きており、施工管理技士の給与は建設業の中でも高くなっています。建設業界で転職を考えているなら施工管理技士は非常に有利な資格であると言えるでしょう。
将来的には、建設需要の増加と、建設業界で仕事をする技術者の高齢化に伴い、施工管理技士の人材不足が深刻化すると考えられており、国交省は施工管理技士の資格者を増やしたい考えです。資格制度の見直しも始まっており、施工管理技士の資格取得を目指す若い方も増えてきています。
建設業で仕事をしたいと考えている方は、ぜひ施工管理技士の資格を取得しておきましょう。