現場を知らない現場代理人とは?
現場を知らない現場代理人からの指示は、的外れになる可能性が高いため、一度「現場を知らない現場代理人」だと思われると、この人の言うことを聞くのは危ないという感覚になります。そうなると、職人も指示を聞いてくれなくなり、現場はまとまらなくなります。
私も昔、現場担当をしていた化学プラントの定期修理工事で、失敗したことがあります。
ある日、私は職人と一緒に配管を解体していました。屋外の架構上に配管だらけの現場で、職人さんに「ここ、ボルト外してええかー?」と聞かれた私は「オッケーっす!」と即答し、ボルトを外してもらいました。その直後、「ドスンッ!」という大きな音。ボルトが外れて支えを失った配管が、数十センチ落下したのです。
幸い、ケガもなく物損もなかったので、ほっとして、「たまにはこんなこともあるさ」と思った後日、職人から「あの時から、お前の言うこと聞いたら危ないと思った。もう一緒に仕事したくないわ」と言われてしまいました。
それ以降、私は猛省し、しっかり現場を見て、現場を知ることを意識しようとしました。
現場を知らない現場代理人の指示など、誰も聞いてはくれません。
責任を取ろうとしない現場代理人とは?
新人や若手の技術者だと責任を取るのは難しい面もあると思います。失敗しても「会社のフォローがない」と嘆きたくなることもあるでしょう。
しかし、自分で責任を取ろうとせず、「会社が悪い」「上司が悪い」とぼやいてしまうと、「あいつは自分の考えを持っていない。あいつに聞いても無駄だ」と周囲に思われてしまうのです。これは現場代理人に限ったことではありません。
私が新人の時、上司の指示に従って化学プラント内の現場に行きました。現場責任者に「今日来ることは聞いていない。帰れ!」と言われたので、「上司に言われたんですけど……」と言った瞬間です。
胸ぐらを掴まれて、「お前は何考えて生きとんじゃ!!」と一喝。
当時は「なんて、理不尽な……」と思いました。しかし後になって、自分の人生に責任を持ちたい、と思うようになった時、初めてこの言葉を理解できたのです。
だれかに言われたから、という理由だけで物事を決める人は、人生にも現場にも責任を持っているとは言えません。
社長の責任を代行している現場代理人がそのような態度では、とても責任者と呼べないのも仕方ないですね。
言いたいことを言わない現場代理人とは?
おとなしい性格の現場代理人は、現場でなめられやすいです。「あいつには多少無理をいっても怒らないから、好き放題言ってやろう」と考える人がいます。性格を変えることは急には難しいですが、言われっぱなしにならないような意識をもたなければなりません。
例えば、職人が配管加工をしていて、「あれ?なんか違うような気がする。けど、ベテランがやってるから大丈夫だろう」と信用して何も言わず、結局、後から間違っていたことが分かったとします。そんな場合、「間違ったことしとったら言えよ!」と、間違いなく言われるでしょう。
言葉の責任といいますが、「言わない責任」も問われるのが施工管理の仕事です。請負体制の関係上、現場代理人から直接職人に指示することは、厳密にいえば不適切となるかもしれません。ですが、「ちょっとおかしくないかな?職長に確認してみてもらえる?」程度の言い方であれば問題ないでしょう。
言うべきことを遠慮せずに言うことは現場代理人の仕事です。
そもそも現場代理人に絶対ならないほうがいいですよ。