気まずい会話にも話を合わせて、現場の人間関係を和ませる
現場では周りは男ばかりだが、「仕事中は男も女もない厳しい空気があるが、休憩中などはみな優しい」(安達)と言う。ナーバスな女性なら少々気まずくなるような会話にも、「なるべく話を合わせるようにしている。そのほうが場が和むから」。「もともと気にしない性格」もあって、現場での人間関係は上々のようだ。
「好奇心が旺盛で、固定概念にとらわれるのがキライ」(安達)と自己分析。友達に「今、土木の仕事をしている」と言うと、「どしたん?」と驚かれることもあるが、意に介さない。ただ、身近に相談できる女性技術者がおらず、「寂しい」のがホンネ。そんな中、同じ徳島県の株式会社大竹組の女性技術者、橋本美香さんは「心強い」存在だ。「お師匠さんみたいな人で、女性の視点から、いろいろと教えてくれる」からだ。「女性が現場でもっと活躍できるように、自分も努力していきたい」と力を込める。
女性現場監督の「仕事と家庭の両立」、「カイゼン」の努力
安達さんの悩みは、仕事と家庭の両立。ワークライフバランスだ。そこに資格勉強も加わるので、その大変さは容易に想像がつく。「子どもの送り迎えや、晩ご飯の支度などがあるので、午後7時に帰宅するわけにはいかない」。しかし、普通に仕事をやっていると、繁忙期など午後5時に帰れないことも少なくない。現場監督が作業員に仕事を任せて一人帰るわけにはいかない。工期末には、書類づくりにも追われる。そこで、一計を案じ、日中、現場は主任に任せて、自分は写真管理や書類づくりなどに専念。自分なりの「仕事カイゼン」に取り組んでいる。このカイゼンが功を奏し、これまでのところうまくバランスを保っている。
「国が女性が働きやすい職場づくりを進めているのは、ありがたいこと。でも、今のところ、子育て中の女性が働きやすい職場にはなっていないのが残念。子育て中の女性と子育てが終わった女性の区分けがもっと進んで欲しい」。多くの子育て中の女性技術者共通の意見だろう。具体的な対応が急がれるところだ。
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記事を拝見し、子育て中の主婦が現場の仕事に挑戦することの大変さに共感しました。
同時に、子育てが終わった人や子育てが終わりそうな人と、絶賛子育て中の女性を分けて考えなくてもいいとも思いました。子育てが終わった人や子育てが終わりそうな人も、何かしら抱えている事情があるかもしれません。
例えば、子供が発達障害で成長しても安心できない、自身の更年期障害や親の介護など。同時に重なっている人もいると思います。
日本は男性よりも女性の負担がまだまだ多いです。偏見かもしれませんが、この世代の女性の配偶者の男性の多くは、妻の更年期症状に理解がない、介護は配偶者の女性任せの方が多いのではないでしょうか。子育てが終わりそうな世代の場合だと、そこに子供の世話が加わる。
その世代の男性が多い職場だと、上手く仕事と家庭を両立できず悩んでいる人もいると思います。
実際に私も更年期症状のため薬を服用していますが、仕事がなかなか休めず、薬を飲みきってなくなってしまうまで休めず、何とか仕事を調整して平日に休むことになったら、会社から現場を放り投げるなと電話が来たり。
対策を考えようにも、同じ世代の女性技術者が近くにおらず、相談もできない。
今後も女性技術者の現実をもっと取り上げていただき、声を上げられずにいる状況を改善するきっかけを作っていただけたらと思います。