電子小黒板の認知度はまだ低い?
「電子小黒板の存在自体が、どこまで建設現場に浸透しているのか疑問」。田島さんは自分の足で毎日現場を歩き回っているが、そこで出会う技術者や技能者の中には、電子小黒板のことを知らない人も多いという。彼らに電子小黒板「BB工事くん」の説明をすると、そんな便利なサービスがあることに目を輝かせる人も少なくないそうだ。「高齢の方々だけではありません。スマホを自由自在に操っている若者でも、電子小黒板のことを知らない場合が多いです。電子小黒板の説明をしたら、“マジすげえ”と感動する20代の職人もいました」。
他社の電子小黒板サービスの中には、「数万ダウンロード達成」とうたっている広告も見かけるが、実際の建設現場では、まだまだ電子小黒板の認知度は高くないようだ。特に、規模の小さい現場や中小零細企業で働く職人ほど、電子小黒板の存在を知らない傾向が強い。田島さんが「BB工事くん」の機能をプレゼンすると、その場で購入を即決する人や「社長に教えたいから資料をくれ」と職人たちが群がってくる場合もあるという。
では、「BB工事くん」のどこがスゴいのか?
電子小黒板「BB工事くん」の開発経緯
ビッグブラザーズシステムが電子小黒板「BB工事くん」の開発に着手したのは2016年8月。「他社の電子小黒板よりも、かなり遅いスタート」だった。そもそも電子小黒板を作るきっかけも偶然だった。
スマホアプリの開発を得意とするビッグブラザーズシステムは当初、大規模修繕工事を手掛ける株式会社エーアールエーと共に、リニューアル工事に活用できるドローンシステムの開発を目指していた。「ドローンを使ってマンションの外壁調査をする」など、現場の生産性を向上させるためのスマートフォンアプリの開発だ。しかし2015年4月、首相官邸にドローンが落下する事件が起き、「街でドローンを飛行させることは難しくなり、実用化する目処が立たなくなってしまった」。そして、このドローンシステムのプロジェクトは、次第にフェードアウトせざるをえない状況になっていった。
そうした折、「現場の運営を効率化するために排除すべきムダは、他にも色々ある」という話がエーアールエーの現場サイドから出てきた。その一つが、工事写真や台帳管理に関するムダだった。電子小黒板の事業には、すでに大手企業も参入していたが、ビッグブラザーズシステムは、早速エーアールエーの現場改善に貢献するため、開発から半年でシステムを構築した。それが電子小黒板「BB工事くん」だ。エーアールエーの現場代理人や職人たちの意見に耳を傾け、使いやすさを徹底的に追求。2017年10月にJACIC(一般財団法人日本建設情報総合センター)の信憑性確認の認可も得た。いわゆる改ざん検知機能というやつだ。もちろん公共工事にも対応できる。
「まだ他社への本格的な展開は始まったばかりですが、BB工事くんはシンプルで使いやすいということもあって、徐々にお客様は増えてきています」。電子小黒板「BB工事くん」の反響は上々だ。