協力会社の新入社員は「3日間徹夜」
次の事例は、協力会社に中途入社したB氏。
私の会社はまだ残業代が支払われる会社でしたが、年棒制で残業代が払われない会社もあります。そんな協力会社に中途入社したB氏は、過酷な労働環境で馬車馬の如く働いていました。
私も書類作成に追われて、会社のフロアマットで寝ることは幾度もありましたが、B氏はそれどころではありません。「2日に1日しか帰れない」「3日間徹夜」とか、「ろくに仕事を教えてくれない」とか、一緒に仕事をした際、しきりに会社の愚痴を言っていました。
その後、2〜3週間、その協力会社との仕事がなくなり、久しぶりに一緒に仕事をしたら、B氏がいません。聞くところによれば、B氏は倒れて、そのまま退職したとのことでした。
職人・客・会社から怒られる空調業界の新人
「人が足りない」という声が現場から聞こえてきてから、やっと私の所属会社でも中途採用を開始しましたが、急いで中途採用者を集めても、多くの方が辞めていっているのが現実です。
大手ゼネコンでも多くの新入社員が辞めていくと聞きますが、私の会社の場合、退職者が多い最大の理由は「仕事内容がわからないうちに現場に放り込まれ、客からも協力会社からも会社からも文句を言われるから」です。それでも、大抵の中途社員は、一人で現場に行かされてしまい、辞めていきます。
建築業の仕事は意外に覚えることが多く、その勉強をする暇もなく、現場で働いています。だから仕事内容は、実際の現場で職人に聞くしかないのですが、職人がみんな知識があるわけもなく、嘘や適当なことを言われ、それを信じた中途採用者は先輩に怒られ、かといってその先輩も何も教えてくれないという地獄です。それに拍車をかけるかのように、建設業界は深夜、土日でも、仕事や書類が終わらずに家に帰れないこともあります。
他業種から中途採用で建築業界に入ったら、本当に大変だと思います。特に空調業界やサブコンは、職人から怒られ、客から怒られ、会社から怒られます。勉強すべき内容も多いですが、そんな時間や休日は滅多に取れず、休日も客や会社の先輩から連絡がきます。そして、体育会系で上下関係が厳しいことも、中途採用で入社した方々を悩ませる一つの原因だと思います。
このままでは、どうにかしないといけません。働き方改革の風が空調業界にも吹くことを期待しています。