建築基準法を「萌えキャラ」に擬人化した『建築知識』
——建築基準法を「萌え絵キャラクター」に擬人化した12月号の狙いは?
建築知識 実は、最初の企画段階では、某有名アイドルグループ(名前に地名がつく)と一緒に建築を見て歩くという企画でしたが、あっけなくオファーを断られてしまいました。
そこで、次の企画をどうしようかとアイディアを考えていたところ、東京タワーなどの建築物や構造物を擬人化しているイラストレーターのモエストロさんの存在を知って、建築基準法などの建築法規を擬人化する企画がひらめきました。
——『建築知識』はお堅いイメージでしたが、ユニークな企画も通りやすい?
建築知識 以前にも『建築知識』ではアニメを表紙に起用したことがありましたので、「いけるんじゃないか」とすんなり通りました。
——擬人化で苦労した点は?
建築知識 建築関連の法規を理解すると、より楽しめるように、例えばキャラクターが手に持っているアイテムや、キャラクターのカタチ・大きさも、法律と関連性があるように工夫しました。キャラクターの細部にもこだわっているので、「これはこういう意味だったのか」と、法律を勉強しながら楽しんでいただける内容になっています。建築士や建築施工管理技士の方であれば、面白がっていただけると思います。
——建築基準法を擬人化するのは難しかった?
建築知識 キャラクターを描く仕事は、モエストロさんをはじめ、擬人化が得意な6名のイラストレーターさんにお願いしました。当然彼らは建築のことは専門外ですので、建築基準法について編集部と何度もキャッチボールをしました。ただ、イラストレーターさんたちは普段から様々なモノを擬人化することに慣れているので、法規の理解も早く、編集部のイメージ通りに仕上がりました。企画から完成までには半年ほどかかりました。
——監修者から「萌えキャラ」に言及はあった?
建築知識 『建築知識』の監修は、フランスに本社を置く確認検査機関ビューローベリタスジャパンに依頼していますが、通常は文章や図面のチェックだけなので、はじめは「なんだ、これ」と思ったでしょうね(笑)。しかし、今回は「萌えキャラ」と法律が密接に関連しているので、「萌えキャラもチェックしてください」とお願いして、「このキャラクターが持っているモノは、この法規と合わないので変えてはどうか」というような指摘も頂戴するなど、「萌えキャラ」についてもしっかり監修いただきました。
『建築知識』が提案する「人が長生きする家」「猫のための家」
——今後、他にも面白い企画を考えている?
建築知識 「猫のための家づくり」という企画が昨年ヒットしたので、その第2弾として、「猫が健康で長生きできる家づくり」の企画を考えています。
――「萌えキャラ」擬人化の第2弾も検討する?
建築知識 社内で「次は美男子キャラでやりたいよね」という話がありましたが、読者層は男性が多いので、多少はリスクがあるかも知れませんね(笑)。ただ、新しい読者層も増えるかもしれません。
――今後の『建築知識』の編集方針は?
建築知識 『建築知識』は、来年で創刊60周年を迎えます。住宅設計を中心に扱っていますが、より良い住宅を建てるには、建築士や工務店の知見だけに留まっていてよいのかという危機感もあります。
仮に人間の平均寿命が70歳だとすれば、約40年は家の中で過ごしていることになります。ということは、住んでいる家の環境が人間に及ぼす影響はかなり大きいと言えます。2018年1月号では、住環境と人間の健康や寿命の関係に着目した特集を予定しています。「どういう照明が食事の消化や睡眠に良い効果を与えるか」「交通事故よりも家で事故死するケースが多い問題をどう解消するか」などのテーマを医師や健康の専門家にも取材し、「人が長生きする家」を提案したいと思っています。幅広い読者層を得ていくためにも、さまざまな企画にチャレンジしていきたいですね。
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