始末書・顛末書でモチベーションが下がる
始末書や顛末書を作成するもうひとつの問題は、とにかくモチベーションが下がるということです。ミスを犯した自分のダメさを文章で表現し、心の中では失敗を他人のせいにしながら、結びの文では表面的な謝罪文を並べる行為ほど、無意味でしんどい作業はありません。
ミスを繰り返さないために、全社的に周知することや、始末書や顛末書を作成することが会社からの信頼を回復させる手段なのはわかります。書類を書くことで反省するきっかけにもなりますが、反省することでモチベーションが下がるのは疑問に思えてなりません。
ミスと向き合えない人間たちの「責任のなすり合い」
建築業はミスが起こりやすい環境である上、損害の金額も簡単に大きくなりやすいです。ですから、巨額な損害を出したミスと向き合うことで自分のダメさに打ちひしがれ、立ち直れなくなることや、自分に非があるにも関わらず、ミスと向き合うことを恐れ、他の人の責任にすることに必死になるケースも多々おこります。
せっかく業務時間を割いて用意された社内会議での「失敗の展開」の機会では、当事者からのミスの報告の後、つるし上げが始まり、当事者同士の責任のなすり合いとなり、一番立場の弱い者が全責任を追うことで場が丸く収まる、という無意味な結末で終わることもしばしばあります。
多くの人は、自分が可愛いあまりに、どんなに自分が悪くてもその責任から逃れようとし、心から向き合えなくなってしまうものです。