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「一人の採用に138時間を費やす」三和建設株式会社が導入した「理念共感型」の人財採用戦略とは?

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公開日:2018.02.09 / 最終更新日:2022.08.16
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社員から選抜した講師による社内大学校「三和アカデミー」でひとづくり

三和建設が考える人材成長曲線

三和建設が考える人材成長曲線

三和建設株式会社は平成29年4月、社員の育成を目的とした社内大学校「SANWA アカデミー」を開校した。SANWAアカデミーでは、役員、エキスパート社員が講師として登壇。若い社員に対して実践的な知識、ノウハウを伝授する。

SANWAアカデミーのねらいは、社員の「専門技術力(Ability)=一人でできる能力」と「統合力(Competence)=他者と一緒に、周りの力を借りて事を成す能力」の向上にある。

講座は、営業系、設計系、見積・調達系、工事系、アシスト(管理部門)系に分類し、それぞれが入門系講座、専門系講座、統合力系講座に分けられ、入社年数や部署に応じて必要な知識や技術を体系化している。その他、外部体験型講座、e-ラーニング・教材、内定者研修、資格支援講座などのコースがあり、講座数は130コマ。毎月第3土曜日に5コマ開講し、2年間かけて全コマを開講する。全ての講座は、TV中継で結ばれ、大阪、東京の会場で同時開講される。

SANWAアカデミーの講座受講中の様子

SANWAアカデミーの講座受講中の様子

役員講師は、それぞれが担当する業務の概論解説などの講座を担当。社員講師は、個別業務のハウトゥーなどの講座を受け持つ。講師は係長クラス以上が担当。講座内容は基本的に社員が決める。受講後のレポート提出、1ヶ月後に現場実践の「成果」と「反省」を提出。今後はアカデミーと人事制度の連動を進めていく。

受講する講座は、各社員の担当業務により分かれるが、担当業務ごとに必修講座が決められている。各所属の上長が推奨する推奨講座のほか、担当業務以外であっても、社員が希望する講座を自由に受講できる。必要受講数は、社員等級によって各人で異なるが、入社3年未満の社員は、必要な全コマ受講が必須となっている。

「ひとづくり」にいくらお金と労力をかけても、かけ過ぎということはない

人財育成のため、研修制度が必要なことは理解できる。だが、アカデミーまで設立する必要があるのか、という疑問が湧く。

「三和建設株式会社の経営理念は『つくるひとをつくる®』です、つまり、社員の成長は、我が社の経営上の最重点事項なので、この部分にいくらお金や労力をかけても、やり過ぎということはありません」

アカデミー設立は、ただの企業PR、話題づくりではなく、会社の命運を賭けた試みのようだ。

SANWAアカデミーは、2016年10月のプレ開校から1年以上が経過した。どのような効果があるのかも気になる。

「現在は開講中の段階であり、すべてのデータが出揃っているわけではなく、その効果をすべて検証できているわけではありません。開講の頻度など見直すところもあります。ただ、すでに大きな手応えを感じている部分はあります」

それが知りたい。

「一つは、社員講師の地位確立に成功したことです。会社としては、講師にプレミア感を持たせるねらいのもと、エキスパート社員から選抜し、講師に登用したわけですが、受講した若手社員からは『いつか自分も講師になりたい』という声が出ています」

「もう一つは、講師自身のスキルアップです。エキスパートでも、人に教えるとなると、自分の知識やノウハウが正しいことなのか確認をします。講座内容は、役員が事前にレビューするので、知識やノウハウをちゃんと整理する必要があります。講師も自分の能力を高めよう、という意識が定着してきました」

講師、受講者ともに、業務として「やらされる」仕事ではなく、「自らやる」ムードが浸透しているようだ。この点、会社と社員の価値観共有の恩恵だろうか。

「さらに、社員の成長速度が明らかに増し、その水準も高まっています。以前は、社員が所属する部署や現場ごとに知識やノウハウに違いが見られました。それぞれの上司が個別に教えていたからです」

「また、他のセクションの業務も学べるので、『これは営業のせいだ』『これは設計のせいだ』といったタテ割りの弊害が薄れてきました。違うセクション同士がお互い手を取り合って仕事をする雰囲気が生まれています。全社員が知識、ノウハウを共有できるようになり、能力のボトムアップが進んでいると感じています」

「ひとづくり」は、数年間、腰を据えて取り組むもの。その成果について、性急な結果を求めるのはナンセンスだろうが、「すでに大きな手応えを感じている」という辻中常務の言葉からは、言葉以上の自信が感じ取れた。

実際に講座を受講している社員は、どう感じているのだろうか?

講座を受講している社員の弘瀬敏博さんににコメントしてもらった。

三和建設株式会社 大阪本店営業グループ主事の弘瀬敏博さん

三和建設株式会社 大阪本店営業グループ主事の弘瀬敏博さん

「私は主に食品工場の営業を担当しています。これまで20コマほど受講しましたが、いろいろな知識を吸収できて、とても刺激になっています。一番タメになった講座は、営業ではなく、設計の講座でした。食品工場の設備に関する知識は、営業していく上で、非常に役に立っています」(弘瀬敏博・三和建設株式会社大阪本店営業グループ主事)

社員の評判も上々のようだ。

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この記事を書いた人

大石 恭正
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