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カシメ屋の昔話 連載:カシメ屋の昔話 連載一覧へ›

昭和の東京オリンピック前は、死の危険を伴う職人「カシメ屋」が工事現場にいた

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公開日:2021.05.05
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カシメ屋は雨が大嫌い!

「カシメ屋は、朝、一粒でも雨が降ると出てこない」と、よく鳶が言っていました。

確かに、カシメ作業の途中から雨になると、せっかく打ったリベットの母材のすき間から雨が侵入して、リベット自体を緩めてしまう可能性があるのです。

せっかく苦労して打ったのに、後から作業のやり直しをさせられては、たまらないので、雨が降り出したら、即刻、カシメ作業は中止となります。

また、鳶さんが言うように、朝の6時や7時ころに小雨が降ると、現場には出てきません。それで8時ころには薄日がさしてきたりすると、これは大変で、現場の監督官や元請けのGC(ゼネコン)から、早く作業しろと矢の催促になります。特に、工程が遅れていたりすると、どんどんエスカレートしてゆきます。

素人にカシメ作業は無理!

ある国鉄(当時)の駅舎の大改造工事で、橋と鉄骨の両方の工事がありました。

そこで上述のように朝から小雨が降り、カシメ屋がやってこない状況がありました。そのとき、カシメの親方と元鍛冶屋の親方が会社の番頭役で事務所におり、そのほかに事務員兼現場の片付け役の若者もいたので、4人でカシメをやるか、ということになりました。

カシメの親方は、昔取った杵柄でリベットを焼きます。しかし、さすがに投げるのは感が働かないということで、若者がホゾのところまで行って焼いたリベットを受取り、継手位置まで足場の上を運んでリベット穴に差し込みます。

当て盤は私の役、打ち手は鍛冶屋の親方です。音だけさせておけば、みんな納得するだろうということで、カシメのまねごとをやりましたが、小一時間もすると、全員力尽きました。

そのうち、曇り空から、また雨がパラパラ落ちてきたので、これ幸いと作業を切り上げました。後にも先にも、建設現場でこんなに緊張し、体が凝ってしまったことはありませんでした。

次の日、本職のカシメ屋からは、「こんな余計なことをしてくれて、手間が増えるではないか!」と、さんざんお叱りを受けて、素人カシメは終了しました。

(つづく)

※「昭和の建設現場」の体験談をコメント欄に書いていただけると嬉しいです。懐かしさや驚きなど、昔の建設業について、読者の皆様と語り合いたいです。

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「絶滅した恐怖の職人芸」1000℃の鉄の塊を投げて、それを受け取るカシメ屋
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カシメ屋の昔話
カシメ屋の昔話

今は絶滅したカシメ屋(鉸鋲工)の昔話。

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この記事を書いた人

うんちく亭 今昔
うんちく亭 今昔
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社会人として最初に勤めたのは、今は亡き老舗の機械メーカー。ここで橋梁・鉄骨の設計と現地据付工事に従事。そのうち、この会社が危ないとの噂が広がり、思い切って大メーカー(この会社も今は社名が変わっている)に転職。ここでも同様に鋼構造物の設計・技術営業・施工指導にあたる。 その後、一転して、今度は土構造物(当時、導入したての特許工法)の現地踏査、設計、施工指導、技術営業等で全国各地を駆け巡ること十数年ののち、また元の古巣に戻って、鋼構造物関係の仕事に勤しんだ。 この間、一級土木施工管理技士、技術士(建設部門)、労働安全コンサルタント等の資格をGet。昔話に花を咲かせる仲間も減る中、今も現役会社勤めの毎日。 高いところと海が好き。チョイ悪を気取ってみてもミスマッチのチョイメタおやじ。
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コメント(1)

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  • - 2019/12/23 14:02

    ホド(火床)では?

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