カシメ作業と、女陰を指す隠語
カシメ作業は、まず、なま(常温)のリベットを、鉸鋲に適する1100℃付近まで加熱する必要があります。
現場では一般に、ドラム缶の上部を切り、高さの1/3あたりに火床を設け、ここでコークスを焚いて、リベットを10本程度並べて熱します。この炉を「ホゾ」、あるいは「ホト」といいます。
ちなみに「ホト」は漢字では陰であり、女性の陰部をさす語です。このホトが訛ってホゾになったもので、「臍を噛む」のホゾとは違うと思われます。
このホゾで焼いたリベットが桜色になった頃が1000℃前後なので、これを1m程度の長さの火箸で取り上げ、鉸鋲をすべき継手の位置まで絶妙のコントロールで投げます。それは見事なものです。
受け手は、やや大きめの取手の付いた漏斗状の受口を持ってこれを受け、表面のスケールを落として、締めるべきリベット穴に火箸で差し込みます。
次に、頭のある方を当て盤で押さえ、リベットハンマーを持った打ち手が、棒状の軸の方をハンマーで打って半円球状の頭ができるまで打ち込みます。リベットは全体に高温になっているので、打撃を受けて、継手の穴の全域に拡大され充填されます。
現場で一般に使われていたリベットハンマー(俗に「鉄砲」という)は、圧縮空気がシリンダーの中のピストンを往復運動させ、その衝撃力でリベットを打つわけです。
鉄砲の先にはスナップが付いており、これをピストンで叩くわけです。スナップはシリンダーの先端に数cmほど突っ込んでいるだけなので、そのままではピストンに押されてどこかに飛んで行ってしまいます。そのため太めの番線で鉄砲の本体につながれていました。
リベットの焼き手(この人が親方、もしくは棒心)、受け手、当て盤、打ち手、ボルトさらいと最低でも5人必要ですが、一般には5~7名が1パーティーで作業していました。
ホド(火床)では?