全国で唯一、中堅ゼネコンの技術社員が会長を歴任する技士会
岡山県土木施工管理技士会は平成3年に発足。当初は岡山県の外郭団体である建設技術センター内に事務局が置かれていた。
当初は、会長、副会長のポストは、中堅ゼネコンである株式会社大本組、アイサワ工業株式会社などの経営層が歴任していたが、「技術者が運営する方が良いだろう」という理由で、平成20年以降、役員会社の技術社員が就任するようになる。
平成25年に同センターが公益団体へ移行するのに伴い、岡山県土木施工管理技士会の事務局は岡山県建設業協会に移転。当時、同センター臨時職員だった山崎博美氏が事務局員として配属された。岡山県土木施工管理技士会の事務局長は、岡山県建設業協会の事務局長と兼務という形だった。
「この事務局体制では運営が困難だろう」という理由から、岡山県土木施工管理技士会の役員企業4社は、企画委員として技術社員4名を派遣。事務局のサポートに乗り出す。「全国の中堅ゼネコンが会長。企画委員という組織は珍しい」(山崎事務局長)と言う。
CPDSの理解不足で、会員数が伸び悩む
岡山県土木施工管理技士会の会員数は、平成11年がピークで1656名。その後、同25年1123名、平成30年1147名と減少傾向にある。岡山県内の建設業者数が6972社であることを考えれば、物足りない数字だ。「中国四国の各県技士会の中では、会員数は最も少ない」(山崎事務局長)と指摘する。
会員数が少ない理由の一つは、県内のCPDSに対する理解が低いこと。国土交通省中国地方整備局や岡山県では、入札参加施策審査時にCPDSは加点対象となるが、岡山市では、CPDSを取得していても、未だ加点されない現状がある。「現状ではCPDSのメリットで会員数を増やすことはできない。CPDS以外のメリットを見つけることが大きな課題だ」(草地会長)。
県内業者6972社のうち、4800社が中小零細企業。仮に岡山市がCPDSを導入した場合、新しいモノに対応できない企業も少なくない。親族経営の零細企業の中には「面倒なので、CPDSはやりたくない」と言う経営者もあると言う。政令市にしては、意外な出遅れ感は否めない。
技士会の講習には、全国組織である一般社団法人全国土木施工管理技士連合会(東京都千代田区、谷口博昭会長)が開催する講習もある。全国組織の講習だが、一部には「受講料が高い」などと不満の声が上がる。「必ずしも会員が求めている内容ではなく、なかなか響かないところがある」(山崎事務局長)ためだ。