三菱地所レジデンス・鶴見弘一氏に聞いた「シェアハウス開発事業の行方」
「ザ・パークレックス 永福町」は、20代後半から40代をターゲットにした「ものつくり」がテーマのコンセプト型シェアハウス。
入居者同士がお互いに切磋琢磨できる仕掛けとして、1階には木工・彫金・陶芸、2階には裁縫などさまざまな創作活動ができるアトリエを設け、必要機材も用意している。
三菱地所レジデンスが「Reビル事業」を開始したのは2014年。同事業では、築年数が経過した中小ビルなどを再生した上で賃貸する事業として「ザ・パークレックス」ブランドを展開している。これまでにオフィス9件、住宅2件のリノベーションを完了。あるビルでは、リノベーション前後で1.5倍の賃料を実現している。
「今後はビルに限らず、住宅にも注目していきたい。もともと独身寮の施設を有効利用しようということで、シェアハウス開発事業に参入した。今回はオークハウス社と協業しており、先に募集をかけた『ザ・パークレックス 永福町』の1階はすでに満室になっている」(鶴見部長)
シェアハウス開発事業の第2弾として、東京都豊島区駒込でも工事中。5月末に完了し、6月の初旬から運用予定。ほかにも契約締結前ではあるが、数物件で商談中だという。
Reビル事業の取り進め方法は2つある。1つ目は、オーナーから建物を借りて、リノベーションして賃貸する。2つ目は、ビルを取得して、空いている部屋をリノベーションして賃貸する。
「貸床面積を増やす方向に注力し、2020年度までに2万5,000坪を目指しています。今回のシェアハウス開発事業は伸ばしていきたい分野。社宅や社員寮を再利用したいというオーナーもいるので、今後も増えていくと確信しています」(鶴見部長)
オークハウス・山中武志会長に聞いた「健全なシェアハウス事業とは」
三菱地所レジデンスとタッグを組んだオークハウスは、約20年前からシェアハウス事業を開始し、現在シェアハウスの管理物件は256件、6,452室と、シェアハウス・ゲストハウスの最大手だ。東京・神奈川エリアを中心に、社員寮や一戸建て、マンションなどを多数借り上げ、ここ5年間で管理戸数は2倍と急増している。
シェアハウスと言えば、女性向けシェアハウス「かぼちゃの馬車」の破たんにより、トラブルが多い投資案件とイメージが付いた。しかしオークハウスの山中会長は、「話題のシェアハウス破綻劇については、3年前から警笛を鳴らしていた。われわれオークハウスが、日本でのシェアハウス事業の礎を築いたと自負しているので、この業界を正しい道に導くのが責務と考えている。シェアハウスを『ソーシャルレジデンス』とするのが私の役目だ。」と語る。
聞き慣れない「ソーシャルレジデンス」という言葉だが、シェアハウスをコミュニティ重視のソーシャルな場として、オークハウスが定義したものだ。「ザ・パークレックス 永福町」もコミュニティを重視している。
オークハウスの運営するシェアハウスの入居者は20代~30代が中心。男女比率はほぼ均等で、短期出張の会社員、英会話教師、専門学校生、就職のための上京者、日本語学習や留学生など日本人、外国人を問わずさまざまな利用者がいる。