迫り来る大手ゼネコンの再開発計画
現代建築の作り方が「正しい」と信じている私たちにとっては、岡さんの話を聞くと、目からうろこの部分が多い。来る日も来る日も丹念に少しずつ、共感者の協力を得ながら、「蟻鱒鳶ル」という芸術作品を完成させようとしている。
しかし、現在この建築は危機にさらされている。某大手ゼネコンによる再開発の計画が数年前から立ち上がっているのだ。しかも、ゼネコンの窓口担当者が変わるたびに方針は変わる。「必ず保存しますから安心してください」。次の担当者は「そんなことは申し上げたつもりはありません」。突き放されることもあるという。
流動的な状況であることから、本格的な作業は現在凍結し、細かな作業しかできない状況だという。しかし岡さんは組織というものの性質をよく理解し、「基本的にみんないい人なんですよ。しかたなくそう言っている」。そんな寛容な笑顔を見せる。
建築の本質を問う200年建築「蟻鱒鳶ル」
「図面では違う仕様になっていても、3階まで出来上がって、ふとそこからきれいな富士山が眺められることに気付く。じゃあ、ここに窓をつくろうってなるんですよ」。岡さんは、建築の本質をこう語る。
高慢ちきな建築家が一方的に「美」を押し付ける。俺が言うことが正しいんだ。お前らは俺の言うとおりにただ作ればいい。――そんな建築の在り方が日本の風景を壊したという批判もある。
しかし設計士も、末端の作業員も、管理者も、施主も、偶然通りかかる通行人まで、建築に携わるすべての人がまじりあうものづくりはどうだろう。「そんなふうに作られた建築なら簡単に壊せないでしょ?」
完成予想はいまだ見えない。再開発問題も出口が見えていない。岡さんだけじゃない、今の時代を生きるすべての人がこの世から去っても、残り続ける200年建築「蟻鱒鳶ル」。
ものづくりの本質を問う一人の男の覚悟と、それに共感した多くの人たちの想いを、「蟻鱒鳶ル」は伝え続けることだろう。
「蟻鱒鳶ル」のはす向かいにある丹下健三が設計した建物も、もうすぐ解体予定だという。
記事提供:生コンポータル
どうだろう。結局誰も作らせてくれないから自分で作ったのでしょう。本人もおっしゃてるけど建築家としては才能を感じないし、魅力はない。ただ、話題を作り買い手を見つける事が出来そうなので、目論みは成功したのではないかな、今後施主を見つけ依頼をされるかは微妙。
岡さん懐かしいなぁ。前にほぼ日で連載してたのを見て、会いに行ったことあるなぁ。
北九州より広島の方が原爆でいいひとが駆逐されたせいで治安が悪い、みたいな話を聞いたのが記憶に残ってる。