若者に接する方法は「一旦降りて、一緒に上る」
――技術者の育成にはご苦労されているようですね。
宮内 私も上の世代には、「今の若いもんは」と言われた口でしょうから、若者をひと括りにして、こんなことを言うのはよくないことは承知していますが、最近の若者には決定的に違うところがあると思っています。われわれの世代の頃は、放ったらかしにしていても、人が育っていました。私自身、どこへ行っても事細かく教えられた記憶がありません。聞けば教えてくれる人もいましたが、聞いても教えてくれない人もいたりしました。
ただ最近は、こちらから話しかけてやらないと人が育たないということを実感しています。田舎の小さな会社なのでそうなのかもしれませんが、少なくとも今の私は、「上がって来い」ではなくて、「一旦降りて、一緒に上る」方法を採用しています。いわゆる手取り足取りとなる場合もあります。それが正しいかどうかは分かりません。暗中模索です。
原 われわれの世代もその名残がありました。実験の方法などは細かく教えてくれませんでした。今が昔と違うのは、情報が多様化したことと思います。今はインターネットからなんでも情報を集めることができます。物事を自分で考えなくても、短絡的な答えが出る時代になっています。それなりの答えはインターネットに出ているわけです。最近の若者は、自分で考える能力が低下していると言うか、情報があり過ぎて考える力が衰え、主体性がなくなった感じがします。
宮内 でも彼らの責任ではないですよね。
原 ええ。宮内さんから手取り足取りというお話がありましたが、私も学生の研究指導を行う場合、はじめはある程度のレールを敷くことから始めます。ある程度動き出したら、研究に対する考え方や解決法、使う機材などについて学生にアドバイスをしています。ただし、あえてこちらで答えは言いません。いつの時代であっても自分で考えないと、やりがいが出てこないと思うのです。学生に自分で考えてもらうためには、研究室を運営する私自身が一生懸命やるしかありません。私が手を抜いたら学生も手を抜きます。情熱も意欲もない教員に学生はついてきませんから。
宮内 先生の研究室の学生さんはそこを感じ取ってますよ。
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若者は考える力はなくなってるかもしれないけど、その代わりに別の能力が伸びてるんだよな。
IT技術を使う力とか、相手を平等に扱う力とかね。