カシメ屋は夏でもチャンチャンコ
リベットの焼き手は、冬でも夏でも綿入れのチャンチャンコを着ていました。
これは、1日中ホゾの前に立っているので、体の前だけが熱くなり、血液がそちらに取られて背中が寒くなるからです。
カシメ屋の仕事は「前があったかくなったから、今度は後ろをむこう」などと焚火のようなわけにはいきません。そのため夏でもチャンチャンコを着ていました。
また、熱い「炉前作業」ですから、絶えず水分を補給しなければ体がもちません。今では、断熱を施したスポーツ用の格好良い各種ボトルがありますが、当時はそんなしゃれたモノはありませんでした。一番身近で手に入る一升瓶に水を入れて、手元に置いていました。
ある繁華街の駅舎の改築工事をしているときのことです。その当時でも、街中でカシメ作業を間近で見かけることは珍しかったので、金網を張った通路の窓から通勤客などが立ち止まって、カシメ屋の作業風景を眺めていました。
「やっぱり、酒を飲んでいないと、あんなきつい仕事はできないんだな」と通行人が話しているのを私は聞きました。「いやいや、あれは単なる水ですよ。酒を飲んだりしたら、手元が狂って仕事になりません」と言っておきましたが、普通の人が見るとカシメ屋はそういう風に見えるのだとわかりました。
誤解を招かないように、翌日からは酒ビンのラベルを外し、割れ防止のガムテープを巻いたものを使うようにしてもらったものです。
超おもろいやんけ!
とても面白い連載記事でした。
まさにTHE 職人 という記事です。
他の職方の記事も読みたいと思います。
記事面白いです。
屋根工事をしていますが、これからの季節は太陽光と屋根の熱で倒れそうになりますが、カシメ屋さんに比べたらマシですね。大変なのは変わらないけど励みになります。ありがとうございました
確かに、技術も進歩しましたが、1番の違いは、働く環境の変化ではないでしょうか。