死亡災害を起こした会社社長、現場監督の生活は「針のムシロ」
死亡災害は、会社社長はもちろん、現場監督にとっても非常にツライ出来事となるのは、想像に難くない。その状況は「針のムシロ」だ。今回亡くなったB社作業員は身寄りがなかった。A社社長は、無縁仏にして葬式から四十九日まですべて面倒を見た。その心労は察するに余りある。
「家族がいると、もっと悲惨。修羅場と化す」(T氏)と話す。葬式に行くと、「お父さんを返して!」「「息子を返せ!」と泣きつかれる。会社は指名停止なのに、金銭的な賠償も求められる。実刑判決を受けるリスクもある。刑事裁判が終わると、民事裁判が始まる。多額の損害賠償も求められる。後遺症が残る障害の場合、一生つきまとう。生き地獄だ。
「現場監督はヒモでつないでおけ」という言葉がある。目を離すと、自殺するからだ。死亡災害が起きた現場監督の多くは、ノイローゼ状態に陥るらしい。「死亡災害を起こそうとして起こす現場監督はいない。土俵から降りた人間に対し、ケリを入れ続けるような仕打ちは、ムゴイの一言。国としても、死亡災害を人災扱いにする事故の取扱い方もおかしい」(同)と警鐘を鳴らす。