――インフラの長寿命化に向けた取り組みの現状はどうでしょうか。
中根 国土交通省では、管理・所管するインフラの維持管理・更新を着実に推進するための中長期的な取り組の方向性を明らかにする計画として、「国土交通省インフラ長寿命化計画」を策定しています。現在、この計画に基づき、各施設の管理者が点検・修繕などを行っています。また、個別施設ごとの具体的な対策方針を定める「個別施設計画」の策定を行うなど、計画的な維持管理・更新に取り組んでいるところです。
――効率的な維持管理はどうあるべきでしょうか。
中根 効率的な維持管理・更新に向けて、新技術の開発と社会への実装をより加速していく必要があると思います。インフラの点検については、人による目視に頼っている部分が多いのですが、技術者不足などの問題に対応するため、例えば、水中点検ロボットや橋梁点検ロボットなど新技術の導入に向けた取り組みを進めているところです。
将来的には、人による点検をロボットに代替できる技術が出てくることを期待していますが、現状ではなかなか難しい状況です。まずは、人による点検を支援したり、診断を支援したりできる技術の開発・導入に向けた取り組みをしっかり進める段階かなと思っています。
また、住宅、都市公園などの施設の集約・複合化、浜松市の下水道コンセンションのように民間の資金・ノウハウを活用するPPP/PFIを推進しています。さらに、維持管理の情報を蓄積していくことも大事です。
――インフラメンテンスは国土交通省だけではなく、もはや国民全体の取り組みですね。 「インフラメンテナンス会議」も設置されたとお聞きしました。
中根 冒頭、越智さんから説明があった「生産性革命プロジェクト」の一つとして「インフラメンテナンス革命」があります。インフラの老朽化が急速に進み、メンテナンス費用が増大する一方、技術者等の担い手不足などが懸念されています。
こういった課題については、インフラの管理者である国土交通省、都道府県といった行政だけではなく、民間企業や大学などの研究機関等と連携し解決していかなければなりません。そのため、産官学民の技術と知恵を総動員するプラットフォームとして「インフラメンテナンス国民会議」が設立されました。例えば、革新的な技術を現場で試行したり、自治体同士で課題やニーズを共有したりしています。
この国民会議にはゼネコンなどの建設業界の企業だけでなく、ICT、ベンチャー、保険、素材やロボットなど多様な産業分野の企業にも参画いただいています。また、北海道から沖縄まで全国10ブロックで地方フォーラムも設立し、ピッチイベントなどの取組も行われています。
さらに、メンテナンスの理念の普及や、ベストプラクティスの幅広い横展開を図るため、国内の優れた取組や技術開発を表彰する「インフラメンテナンス大賞」を創設しました。ちょうど今、第3回インフラメンテナンス大賞を公募中で、応募期間は12月14日までです。
こういったインフラ老朽化を取り巻く課題や取り組みを踏まえた上で、ベンチャーとして提案を行いました。
インフラクライシスに対応するための目標達成型技術開発スキーム
――インフラ老朽化という「宿題」をかたづける具体的な施策は?
中根 人口減少などを踏まえると、すべてのインフラを現状レベルで維持することは難しい時代になるおそれがあります。将来、地方公共団体が必要な行政サービスやインフラを選択するためには、その意思決定にかかわるデータが必要になってきます。
そのため、国がインフラ老朽化の度合いや公共サービスに関する経済データをオープンにして、適切なインフラの再配置や廃止、新たな活用方法を効率的に検討するため、インフラの再配置・効率化のモデルを構築することを提案しています。
人口や維持管理費のデータを見て、「廃止するインフラ」として選定することもあるでしょう。その際は、廃止するインフラやその周辺区域をどう活用するかも合わせて考える必要があります。例えば、背後地が無人になった河川周辺区域を、氾濫原として利用したり、海外セレブ向けのグランピングエリアなど賑わいのある空間として活用することもあり得るのではないでしょうか。
物凄く良記事
>現役世代である私たちが”何もせずに静観する”ことは罪深い行為であると感じています
この業界に携わっている身として非常に耳が痛い
初耳。
なんでこういうのニュースでやらないの?重要でしょ。
率直にいいんじゃないでしょうか。
まぁまだ具体的なところまでいっていないのでなんとも言えないですが、確かに静観しているのは死んでいるのと同じですね。
ぜひ机の上の想定ではなく現実を踏まえて検討していってほしい。
期待しています。
国交省見直しました
いいね、国交省。市をどうにかしてほしいです。