3Dプリント製の橋

オランダ企業MX3Dはロボットと専用ソフトウェア、溶接機を使用して全長12 mの3Dプリント橋を建設。この橋はアムステルダム最古の運河であるアウデザイツ・アフテルバーフワルに架けられる予定だ。 [提供: Thijs Wolzak/MX3D]
Joris Laarman Labがアラップ(国際的エンジニアリング・コンサルティング会社)と連携し、オートデスクやArcellorMittal、Heijmans、Lenovoなどのパートナーのサポートを得てデザインされたこの橋は、現在インペリアル・カレッジ・ロンドンで構造検証テストを受けている。
MX3Dの共同設立者、前CTOのティム・ゴーチェンス氏は「こうした奇抜で実験的な橋の検証には、全く新しい手法が必要です」と述べる。「新たな手法となるのは、全てをデジタルで行う方法です。デザインを行ったら、それをソフトウェア パッケージで検証して、法令準拠の認可を得ます。ただし、プリントされる形状の材料特性については、かなり未解明な部分があります」。MX3Dは、手すり部分などさまざまな位置で物理モデルの耐荷重をテストし、精密な調整を行うつもりだ。
この橋は10月のDutch Design Weekに出展され、全てが計画通りに進めば、2019年にはアムステルダム市内に設置される予定だ。Alan Turing Institute の開発による橋のセンサー ネットワークが、張力や振動、ずれ、環境データをリアルタイムに収集。Amsterdam Institute for Metropolitan Solutions は、このデータをアムステルダム市のスマートインフラ網に接続する予定。だがゴーチェンス氏は「3Dプリントは、効率性が全てなのではありません」と述べている。「暮らしにおける喜びや審美的な要素も非常に重要だと考えています。商業的な目的だけでなく、それが可能であるから作る、という場合もあるのです」。
3Dプリント製の住宅

YRYS Concept Houseでコラボレートする18組のパートナーのうち、XtreeEは実験的住宅構造用の支柱 (画像) と有孔壁を作成した [提供: XtreeE]
そんな中、YRYS Concept Houseは非常に興味深いプロジェクトで、フランスの建設企業Maisons France Confortと大型3DプリンターメーカーXtreeEなど18組のパートナーが建設中だ。XtreeEは、急速に硬化するコンクリート層を押し出す射出成形を使用して、上階の部屋を支える有孔壁と4本の構造柱を作成した。
XtreeEの共同設立者であるジャン=ダニエル・クーン氏は、フランスの建築史はコンクリートで定義されていると指摘する。ル・コルビュジエが好んで使用した材料「béton brut」(フランス語で「打放しコンクリート」を意味する) は、ブルータリズム建築の基盤となっている。だがXtreeEの運営指針のひとつは、コンクリート消費の抜本的削減にある。「この世界はコンクリートで作られています」と、クーン氏。「コンクリートの主成分であるセメントの製造は、全世界での炭素排出量の8%に上ります。コンクリートは非常に優れた材料ですが、さらに優れた方法での活用、つまり構造上必要な箇所にのみ使用することを考えています」。
建物ができるまでの、実際の作業工程がとても気になる。
未来の話みたいだけどこれがすでに行われているのか。