3Dプリント製の人工サンゴ礁

XtreeEとSeaboostは多孔質コンクリート製「人工礁」で不規則なトンネル様形状を具体化し、住処を追われた海産種の回帰を促進した。 [提供: XtreeE]
3Dプリント製人工礁の不規則なトンネル様形状は、マルセイユ市が廃水を海へ排出した1970年代から1980年代に減少が始まった、さまざまな種類の魚類や藻類、軟体動物、サンゴの回帰を促進するようデザインされている、とクーン氏は話す。この人工礁は、石灰岩から成る自然の生育環境のポケットや横穴を再現し、危急種を捕食者から保護する。
クーン氏は、まだ3Dプリントは様々な用途でコスト効率に優れているとは言えないものの、例えば 2030年までに新規建造物のうち25%を3Dプリントで建設するというアラブ首長国連邦のイニシアチブや、アディティブ マニュファクチャリングに関する英国の国家戦略など、政府の施策が市場を変化させ始めることで、それも変わりつつあると話す。「3Dプリントで起こっていることは、BIM で起こったことと似ていると思います」と、クーン氏。「材料削減の影響は極めて大きく、各政府も「環境保護の観点からも意味がある」と考えるようになってきています」。
3Dプリント製のパビリオンとバンドステージ

ナッシュビルの全高6mの格子構造OneC1TYバンドステージは、25〜30cmの降雪、時速145kmの風荷重に耐え得る構造となっている。 [提供: Branch Technology]
Branch Technology設立者兼CEOのプラット・ボイド氏は「私たち人間の構造を、細胞レベルでの類推したものです」と話す。「この3Dプリント製のコンポーネントは、細胞の外壁のように機能します。その強度は充填材と血液、水でもたらされます」。
Branch Technology は2018年6月、報道によると世界最大規模となる3Dプリント製構造体を発表した。ナッシュビルのOneC1TY用に建設された、直径12.8m、全高6m の バンドステージだ。この軽量の炭素繊維構造は、ヒューストンのデベロッパーCambridgeの委託によるもので、CORE Studio のThornton Tomasettiとの連携により、ナッシュビルの建築基準法に従ってデザイン、建設された。建築基準法では、2.5cmの着氷、25〜30cmの降雪、時速145kmの風荷重に対する強度が求められている。
当初の分析では大径間の支持に鋼製の基礎構造を使う必要があると示唆されたが、その後の研究では曲線の幾何学的設計により、基礎部分以外で鋼の必要性を排除できることが示された。これは同様の鋼構造のコストの約半分となり、プロジェクトを予算内に収められることになる。
「私は建築家であり、お決まりの箱を作ることを強いられることも多いのです」と、ボイド氏。「パラメトリック建築は非常に興味深い活動ですが、それはレンダリングや、平方フィートあたり 800 ~ 1,500 ドルのプロジェクトを行える「スター建築家」に限定されます。私は、こうしたクリエイティブなデザインを、標準的な建設予算内に収められる可能性に心を躍らせています」。
建物ができるまでの、実際の作業工程がとても気になる。
未来の話みたいだけどこれがすでに行われているのか。