細心の注意を払う、鉄道直上工事
――現在は現場を担当していると。今の職場は何年目ですか?
井口今年で5年目ですね。今担当しているのは、福岡県が事業主体の天神大牟田線(春日原~下大利)連続立体交差事業の現場で、ちょうど工事が半ばを過ぎた辺りから、任されている感じになります。もうずいぶん長いですね。
――どういう現場ですか?
井口 連続立体交差事業とは、鉄道の踏切をなくすため、線路を高架化する事業です。私が担当しているのは、春日原駅から下大利駅を結ぶ延長約3.3kmの区間の工事で、3つある工区を統括管理する立場です。
直上部に当たる1工区(延長約700m)は鹿島・大林組・西鉄グリーン土木のJV、2工区(約900m)は清水建設、3工区(約600m)は安藤ハザマ、そして、仮線区間となる4工区(約1.1km)は松本組がそれぞれ担当しています。

在来線直上部での施工現場(春日原駅〜白木原駅間)
私自身、鉄道の高架化工事の現場を担当するのは初めてなんです。やはり直上部の工事には非常に気を使います。直上部の工事は、電車が走る真上で高架化工事を行うので、工事工法の検討、確認は徹底的に行なっています。
少し大げさですが、「水一滴落とさない」ぐらい、細心の注意を払っています。施工を担当するゼネコンさんとは、毎日、その日の作業内容の細部までしっかりと打ち合わせをしたうえで、進めているところです。
同じ高架化工事ですが、仮線工事とは施工する上で注意するレベルそのものが全然違います。仮線工事は、横の仮線に移して、これまで電車が走っていた所を更地にして工事を行いますので、高架橋をつくることに専念できるんです。
直上工事の場合は、電車の運行に対して、高架橋をつくることと同等か、それ以上の神経を使います。それほど直上工事は大変なんです。担当するゼネコンさんの現場監督さんには、これまでの経験を生かして細心の注意を払って工事をしてもらっています。
ステークホルダーとの合意形成が公共工事の難しさ
――所長として、気をつけていることは?
井口 現場には、私を含め13名の西鉄の技術者がいますが、直接的に工事をやることはほとんどなく、「マネージャー」としての役割が大きいです。安全管理、工期の管理、予算の管理などに関する行政との協議や社内調整が主な仕事になります。
発注者として、事業者や施工業者との連絡調整を行い、仕事を回して行くのが、西鉄の土木技術者に求められる能力、スキルになります。
現場所長として、この辺のノウハウを社員に伝えていかなければいけないと考えています。
――現場の難しさは?
井口 今回の高架化事業は公共工事なので、西鉄のことだけ考えていてはダメなんです。地域の渋滞解消、あらたな賑わいづくりが事業目的なので、地域のことを考えながら仕事をする必要があります。
事業主体である福岡県と連携して、西鉄が工事を行なっているという視点が不可欠なんです。沿線の地元自治体や住民の方々との協議、ゼネコンさんとの打ち合わせなどもあります。
自社の事業拡大や成長のために投資をすることが多い中で、ふだんと違った視点で業務に取り組むところに、今回の事業の難しさがあります。様々なステークホルダーと協議し、合意形成し、仕事を前に進めるという難しさが。
逆に言えば、社員にとって貴重な経験をする場だと言えます。
鉄道工事のミス防止
――現場でのミスを防ぐ工夫などは?
井口 現場で作業をする中で、ヒヤリとしたりハットしたということはあります。現場作業なので、いろいろな要因が重ったミスはあります。
ただ、現場で一番起こってはならないミスは「ミスが起こるはずがないと考えている部分で起きるミス」です。誰も予想していなかった部分のミスなので、これが一番怖いですね。
なにをするにも事前にきちんと打ち合わせをして、十分に準備をして、リスクを潰してから作業を行うようにしています。ここ数年、豪雨などの自然災害が猛威をふるっているので、今までの経験則だけに頼らずに、さらに安全側の対応を準備しておく必要があると感じています。
鉄道工事は凄いよね。夜間だし、俺には無理です。尊敬します。
ダムカレーが不謹慎だいう人が何言ってんだと思いますね
施工の神様?何様。クレーム様の集団。
水は落とさないけど、評判はどんどん落ちてますよね。
クレームの神様