3D-MC建機の活用効果

講師を勤めた日本道路建設業協会・上野健司氏
続いて、日本道路建設業協会の上野健司氏が、道路建設でよく活用されるICT技術について説明。トピックスは、3D-MC(マシンコントロール)を活用した場合の生産性向上の効果だ。
日本道路建設業協会によると、最も効果が上がるのはMCブルドーザー、MCモータグレーダの活用である。「丁張の要員が要らなくなる」「検測手間が省ける」というのがその理由だ。
一方、アスファルトフィニッシャ、スリップフォームペーバ、切削機を活用した場合では、TSが複数台必要になるのが課題だ。

3D-MC活用効果 / 日本道路建設業協会資料
「結局、経験の浅いオペレーターとベテランとどちらがICT建機を使えば良いのか」という、ユニークな検証結果も発表された。
同協会と土木研究所との共同研究によると「ベテランが使った方がメリットが出る」「新人が使うと運転に余裕が生まれ安全性が向上する」という結果が出た。
もともと、ICT建機は「新人でもまるでベテランオペレーターのように運転できる」という“触れ込み”で、華々しく登場したものだが、ICT建機はレンタル料も高いため「新人には使わせられない」というのが現状だろう。
ただ、一旦事故が起きてしまえば、レンタル料の比にならないぐらいの不利益を被ることも確かである。安全性を考慮して、敢えて新人にICT建機を使わせるというのも、選択肢に入れてみても良い。
地上形レーザースキャナ(TLS)で精度確認試験を体験

日本測量機器工業会(JSIMA)の講師陣
技術的な講習では、日本測量機器工業会(JSIMA)の講師陣による座学と実習を実施。
座学では50ページほどのテキスト『ICT施工技術講習会テキスト・舗装工編Ver.2.0』に沿ってICT舗装工の流れと使用するソフトウエアについて学んだ。実際に現場で測量に携わっている参加者も多いため、従来の測量との違いを説明するに留まった。

精度確認試験を体験(鉛直方向)
野外に会場を移しての実習では、地上形レーザースキャナ(TLS)を使った実習を実施。受講者は施工計画書(起工測量)の提出時に必要な精度確認試験を体験した。今回の講習会から、受講者が実際に実機を体験できる講習内容に変更したという。

精度試験〈水平方向)
その後、再び座学に戻り、ソフトウェアによるデータ処理や、出来形帳簿の作成について講義を受けた。大まかなデータ処理の流れを説明したのみだが、別日程で行われる「i-Construction実技講習会(実践編)」では、実際にソフトウエアを使って3D設計データの作成・整理を行うなど、さらに具体的な実習を行う。

測量後のデータ処理について説明
「ウチではムリだ」を「やれるかも」に
以上が「i-Construction技術講習会」(ICT舗装工)の講習内容だ。
i-Constructionをめぐっては、非常に早いテンポで使用可能な機材や適用される基準類が変更されている。
しかも、より現場で使いやすくすることを目指す、良い変化が多い。1年前に講習を受けた際に「ウチではとてもムリだ」と思った施工業者も、今受講すれば「ウチにもやれるかも」に変わる可能性が高いという。
ただ受講するだけでなく、自社の「やれる可能性」を追求する場としても、「i-Construction技術講習会」に参加する価値は今後さらに膨らむだろう。