清水建設のロボット開発経緯
清水建設では、これまでも現場向けのロボットを開発したことがあった。しかし、ロボットを動かすためには、そもそも人が介在する必要があるという問題を抱えていた。
さらにロボットによる施工は品質も低く、手直しが多いなど、結局は「人がやった方が早くて手直しも少ない」という声も多かった。それは過去数十年、どこのゼネコンも同じだった。
そこで新しい技術であるAIやIoT、ディープラーニング、センシング、高速なCPU能力などに注目。「他分野で使われている技術」(10社1大学)と、清水建設の「建築のノウハウ」を組み合わせて、自律型ロボットを開発するに至った。

シミズ・スマート・サイトによる施工イメージ / 清水建設
清水建設では、シミズ・スマート・サイトを30階建て、基準床面積3,000m2クラスのビルに、シミズ・スマート・サイトを適用した場合の省人化の効果(削減率)は、揚重・搬送作業で75%(2,500人)、天井・床施工で75%(2,100人)、柱溶接作業で70%(1,150人)と、計6,000人近くになるという試算結果も出している。
省人化効果により、個々の建機・ロボットは2~3現場転用することで減価償却が可能だという。
資材搬送も内装工事も溶接も、AIロボットで施工

水平搬送ロボットのRobo-Carrier(出典:清水建設)
水平搬送ロボットの「Robo-Carrier(ロボ・キャリア)」は、レーザーセンサとBIM情報を照合し、自分の所在位置を認識することで、現場に搬入された資材を指示された場所まで自動搬送するロボット。障害物があると搬送ルートを自動的に再検索・修正もできる。
地上階に配備したRobo-Carrierがパレット積みの資材を、Robo-Carrierと連動するELV「Autonomous-ELV」に積み込み、ELVが搬入階に到達すると、別のRobo-Carrierが資材をパレットごとELVから積み出して仮置き場まで搬送する。

内装多能工ロボットのRobo-Buddy / 清水建設
内装多能工ロボットの「Robo-Buddy(ロボ・バディ)」は、レーザーセンサとBIM情報を照合し、自分の所在位置を認識することで、指示された作業場所まで自動で移動。30kgの資材までつかむことができる2台のロボットアームを、6軸で自由自在に動かし作業するロボット。
自動走行台車の昇降式台座上で稼働し、画像センサとレーザーセンサで施工部位を認識した上で、2本のロボットアームを駆使しながら、天井吊ボルトのインサートへの挿入や天井ボードの取り付け、ビス留め、OAフロアの台座・パネルの設置など、さまざまな作業で活躍できるロボットだ。