品確法で発注者の責任を痛感
山本が熊本県に入庁したのは1981年4月。これまで県内の各部署を転々としながらスキルを磨いてきた。
山本に大きな影響を与えたのは、2004年に施行された『公共工事の品質確保の促進に関する法律』(以下、品確法)だ。
発注者に対して、入札参加希望者の技術的能力の審査が義務付けられた。入札・契約制度も多様化し、品質や技術力に重点が置かれる総合評価方式も導入された。いつしか山本の技術屋魂に火が付いていた。
「入庁して10年目には1級土木施工管理技士を取得していましたが、品確法施行後は、行政にもっと品質を見極める能力が必要だと感じていました。総合評価の技術申請書の審査や竣工検査をする中で、私自身ももっと研鑽を積まないといけないという思いが強くなったのです。
2013年から本庁勤務となったことで、電車で片道約1時間の通勤時間を活かして受験勉強に充て、3カ年でコンクリート診断士、コンクリート主任技士、技術士(建設部門/鋼構造及びコンクリート)を取得しました。
そのせいか、最近は職員や施工者からコンクリートの施工や劣化診断・補修に関する相談が増えています。受験勉強は苦労しましたが、QC活動をはじめ、少しでも皆さんのお役に立てることになればうれしい限りです」
QC活動は現場の効率化にもつながる
熊本県でのQC活動は、まだ始まったばかり。発注者、施工者、生コン生産者、学識者が一体となって、コンクリート構造物の品質確保と技術者の人材育成に的を絞ったプロジェクトを展開中だ。
ただ、「目標を達成するために必ずしも特別なことを要求しているのではない」と山本は言う。
「あくまでも、共通仕様書に書いてある技術基準をきちんと履行してもらうことを求めています。示してある技術基準を疎かにすると、標準以下の構造物が出来るリスクが高くなるということです。
品質とコストは相反するといいますが、その部分をいかに縮小していくかが大事。QC活動を通して、現場の作業員とともに考え、改善点を見出し、その情報を共有していくことで、効率化も追求できます。
QC活動で構築したコンクリート構造物を見にきてください。実際に効果を感じてほしいですね」
人材採用・企業PR・販促等を強力サポート!
「施工の神様」に取材してほしい企業・個人の方は、
こちらからお気軽にお問い合わせください。