土木施工管理技術検定試験の課題と改善
――CPDSを運営する立場から、土木施工管理技士という資格について課題はありますか?
連合会 担い手の確保・育成が課題です。新規の入職者を増やす方向で建設業界は取り組んでいますが、離職率を減少させることも大事です。ただでさえ、新規入職者が減少していく中で、離職率が高ければ困ります。
入職後、できるだけ早い段階で土木施工管理技術検定試験を受験してもらえるような環境を求めています。土木施工管理技士の資格を取得すれば、新規入職者も建設業を続けていくモチベーションややりがいにもつながっていきます。国土交通省の意見交換会などでも訴えています。
――2級土木施工管理技術検定で学科試験は高校生にも間口を広げましたね。
連合会 これは全国建設業協会と進めてきた内容で、地方技士会の希望が実現した形です。
現在の課題は、1級土木施工管理技術検定で学科試験に合格しても、その後2回、実地試験に不合格になると学科試験からやりなおすことです。これが受験者にとっては、非常に大きな負担になっています。そこで国土交通省は、1級土木施工管理技術検定学科試験に合格すると、技士補という資格を付与することを検討しています。イメージとしては1級と2級の中間あたりの位置づけの資格です。
連合会としては、技士補が設けられれば、一定数のCPDSなどの自己研鑽を条件に、実地試験の受験回数の緩和することを提案しています。国土交通省も土木技術者の自己研鑽や努力を評価する仕組みを考え、今後、実地試験をスムーズに受けられるような制度設計にして欲しいですね。
――ほかには地方技士会から、どのような声がありますか?
連合会 実は、地方の建設会社では、建設系の工業高校だけでなく、普通科などからの新規入職者の受け入れを活発にしています。ただし、指定学科以外の新規入職者ですと、余計に実務経験が必要です。そこで資格取得をする前に辞めてしまうことがあるため、土木施工管理技術検定試験における実務経験期間の短縮などを国土交通省に訴えています。
提出書類は減少したが、作成書類が減少しない理由
――現場ではここを改善して欲しいという声はありますか?
連合会 働き方改革の一環として、提出書類は減少し、書類の簡素化が進んでいます。これは間違いありません。ただし作成書類が減っていないのが問題です。発注者側の監督官が、説明向けに「こういう書類が必要ですね」「あの書類も作成して欲しい」と依頼するケースが多いのです。
発注者と受注者は甲乙の関係ですから、発注者から要請されれば書類作成をせざるを得ない。土木施工管理技士の書類の簡素化が進んでも、作成書類が減少しない理由はここにあります。
連合会としては技術を確認するための必要な書類作成は重要な作業であると理解していますが、二度手間や説明用の書類を減らすことは必要です、と主張しています。
土木施工管理技士は、昼は現場で監督業、夜は書類作成で激務です。国も建設業界の働き方改革を重視しているので、業務を減少するために発注者と受注者に徹底していくことが肝要です。これは制度以前に、受発注者の意識改革の問題でもあります。
――連合会の「平成30年土木施工管理技士アンケート」では、「建設業を辞めようと思ったことがあるか」という問いがありましたね。
連合会 約2,100名の回答者の内、約60%の方が「辞めたいと思ったことがある」と答えています。「勤務時間」「賃金」「職場の人間関係」が主な理由です。それでも辞めない理由は、「この仕事が好きだから」と60%近くの方々が回答しています。やりがいはのある仕事でありつつも処遇や悩みもあります。
連合会としては引き続き、土木施工管理技士の地位や技術力向上に努め、辞めたいという人を1人でも多く減らしていきたいです。
――ありがとうございました。施工の神様としても、ぜひ協力させてください。
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発注者側の継続学習もやった方が良い。