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76歳現役、竹中工務店の元総括作業所長が語る「名作建築の現場」(前編)

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公開日:2019.01.16 / 最終更新日:2019.02.05
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作業所の現場所長の面接で竹中工務店に入社の足がかり

——およそ60年前、髙淵さんが竹中工務店に就職するまでの経緯を教えてください。

髙淵 私の出身は岡山県。昨年高校野球で甲子園にはじめて出場した山陽高等学校という私立高校に入りました。建築科、土木科や商業科もある学校で、私は建築科を卒業後、学校の推薦で二級建築士の資格を取得させてくれるという条件で、大阪にある建築設備関連会社に就職しました。

大阪で5本の指に入るほど大きな建築設備関連会社で、仕事の内容を見ていましたが、やはり私の専門は建築だったので、少し方向性が違うなと思って即刻退社しました。

その後、親族を頼って東京の両国に転がり込み、たまたま飯田橋の職業安定所で人材募集していた竹中工務店の作業所へ面接を受けに行きました。

——当時の竹中工務店の面接はどんな感じでしたか?

髙淵 現場所長が面接してその現場の雇員として採用が決まるという仕組みでした。

私が旧パレスホテルの建設現場へ面接に行くと、安全担当者に対応していただき、「いや、キミはここの現場ではない」と言われ、案内された先が虎ノ門にあるNCRビル(現・日本財団)の現場でした。

そこで現場所長の面接を受けて、竹中工務店での建築人生が始まりました。1961年5月1日の作業所雇員として入所です。

——今の竹中工務店とはずいぶん違う採用方法ですよね?

髙淵 当時は高卒でも竹中工務店に何人か入社していました。私も高卒ですが、「大卒の人間には負けてはおれん!」と日夜、建設職人と一緒に泊まり込みで仕事をしました。

そのときは、竹中工務店がスーパーゼネコンだとは、ちっとも思っていなかったです。

東京五輪の頃は、3Kでなく「花形」だった建設業

——現場は辛くなかったですか?

髙淵 先輩社員からは「入社したら土方を3年下積みしないと仕事は覚えられない」とよく言われていましたので、石の上にも3年を肝に銘じ、覚悟はできていました。

父親が漁師だったので体力にも自信がありました。子供の頃からよく船に乗って漁に出て、底引き網のロープを手で引っ張り上げるため、足腰は鍛えられていたので現場がきついなどとは思いませんでしたね。

漁師も建設業も雨が降ったり、強風が吹くと仕事ができない点は似ているなと思いました。

——図面のほうは?

髙淵 入社当時は施工図面もなかなか理解できなくて、自分には描かせてもらえない状態でした。仕事が終わってから夜な夜な、鉄筋や型枠図の図面などを手で描いて勉強していましたね。

当時は計算も計算尺を使った計算です。自分で鉄筋も組みますし、型枠やパイプも運びました。型枠大工と一緒になって下げ振りを要所に下げてチェーンで、建て入れ直しなども行ないました。

そして3年目に作業所長の推薦で、当時東京支店の試験・面接を受けました。東京支店雇員として合格して、その後6年後に、正式に本社の試験を受けて、27歳で竹中工務店の正社員になりました。

売血して顔面蒼白の建設職人もいた

——昔の建設職人は気が荒い人も多かったのでは?

髙淵 資材を大切に効率よく使うべきとうるさく指示したりすると、職人から「うるさい」と怒鳴られたり、怒られたり、追っかけ回されたりしたこともありました(笑)。

当時は山谷という街から来る人もいて、例えば、売血して顔面蒼白の建設職人もいました。脅されたこともありましたが、建設職人からは多くのことを学びました。

——今では考えられませんね。

髙淵 私は昔からの現場のたたき上げです。当時のゼネコンは在職して、どこまで辛抱できるかが自分との戦いでした。

今でこそ建設業界でも「働き方改革」が叫ばれていますが、あの頃は今より、もっと人手が足りない時代でした。週休2日確保などと言っていたら、とんでもない。強風・雨などでも休んでいたら、工期が間に合わないといった時代でした。

それでも前回の東京オリンピックが1964年に開催された頃は、「3K」と嫌われるよりも、現場監督は仕事の花形でした。

——竹中工務店の社員はエリートですから、施工作業はしないと思い込んでいましたが。

髙淵 竹中工務店の見習い社員は今でも一連の内外勤業務を担当して、各部署に配属されます。私の若い頃も建設施工職員はいましたが、コンクリート打設などといった要所の作業は、竹中工務店の社員が職人と一緒になってやっていました。

NCRビルの現場は、コンクリート打ち放しの建物ですから、軒先のコンクリートなどを打設するときは、しっかり1日中、打設前、打設後のレベルチェックを担当したこともありました。

レベルのセット等は、職人以上のスピードで所定のレベルにセットすることができるよう努力し、何分以内でセットできるか競っていました。

今は忙しくて専門職人にチェックをさせ、要所・要所を監督がチェックするのではないかと思います。

次のページ名だたる有名建築家の施工を担当
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この記事を書いた人

長井 雄一朗
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建設専門紙の記者などを経てフリーライターに。建設関連の事件・ビジネス・法規、国交省の動向などに精通。 長年、紙媒体で活躍してきたが、『施工の神様』の建設技術者を応援するという姿勢に魅せられてWeb媒体に進出開始。
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コメント(2)

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  • - 2020/09/02 11:12

    吉原タイルで働いていた?池内です?今は池内タイルで求人を枚方の職業安定所に求人を出すまでになりました?仕事がほしいです?総括?

    返信する 通報する
  • - 2023/12/06 8:14

    僕も広島の竹中に居ました、
    まだまだ働きたいです
    75歳ですが、働きたい

    返信する 通報する

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