船溜まりを埋立てた宝町地区
――港湾振興施策として手掛けられたのが、大和ミュージアムなどが観光名所となり、賑わいをみせる「宝町地区整備事業」ですね。
佐藤 海に面した市の一等地での大型整備となったこの事業は、平成6年~12年にかけて完成したものです。呉駅と呉中央桟橋の陸海の交通結節点である地理的利点を活かし、若者が集う賑わいのある交流空間の整備を図るため、商業・娯楽・文化教育などの高次元都市機能の集積を促進することが目的でした。
埋立地となったのは、かつて「宝町ポンド」と呼ばれていた港に入る船が風波を避けて停泊したり、碇をおろして休止する湾の“船溜まり”です。当時の資料によると、入口が狭く中が広がった形状であったため、効率の良い埋立事業として計画されました。
具体的には入口の70mの護岸整備により埋立が可能で、3.5haの土地を造成したところ、地盤が良かったこともあり、造成地の売却収入は工事費をかなり上回ったようです。
造成後、都市計画街路や呉駅・中央桟橋・商業施設などと連絡する自由通路、大和ミュージアムの建設を呉市が整備し、「てつのくじら館」や「ゆめタウン」の建設もあり、現在の呉港ベイエリアの賑わい空間が創出されたので、結論としてこの埋立計画は大成功でした。
計画を策定する際に様々な角度から細かく調査し、適地で事業を展開することが成功の秘訣だと、つくづく思いますね。
宝町地区整備事業概要(港湾事業関連)
- 宝町地区臨海土地造成事業
開発用地(3.5ha)の創出のため,物揚場、岸壁のあったポンド(池)の埋立 - 旅客ターミナル整備事業
老朽化したターミナル施設・周辺の再整備 - 人工地盤整備事業
旅客ターミナルと大和ミュージアム・呉駅を結ぶ自由通路(延長80m)の整備 - 宝町緑地整備事業
大和ミュージアムと一体となった緑地(0.7ha)の整備 - 豪雨災害で物資輸送と入浴支援
地元で暮らす我々も知らない大切な呉の歴史が非常に読みやすく描かれていると感じました。ぜひ多くの方にこういった呉の特性取り組みを目にしてほしいです。
良い記事、こういう記事こそ報道すべき