呉港の整備・維持・管理・修繕
――埋立前と埋立後では港の景色が様変わりしたようです。このような整備事業に携わられる一方、普段はどんな活動をしておられますか?
浦島 中央、広、仁方の3港区で構成される重要港湾である呉港の安全にかかわる整備・維持・管理・修繕が主業務です。例えば、護岸や岸壁などを常にチェックしています。ひび割れなどがあれば、すぐに改修して災害に耐えうる岸壁にしておかないと有事の際に対応できませんからね。
呉市の場合、重要港湾である呉港を市が管理しています。これは全国でも珍しいケースであり、施設の数も多いことから、それぞれの地区に合わせて配慮すべき点や業務の幅も広く、安全を守るのはなかなか大変です。
今夏、呉市に甚大な被害をもたらした西日本豪雨災害では、国土交通省と連携して災害で生じた流木など漂流物の回収や、埋立地に被災地から排出された土砂の仮置き場を開設するなど、災害時に港湾が果たす役割は少なくありません。
――豪雨災害による支援活動で他にも港湾漁港課が手掛けられたことは?
佐藤 同じ呉港阿賀マリノポリス地区で東日本大震災や熊本地震の緊急物資輸送、入浴支援などで活躍した国土交通省中部地方整備局名古屋港湾事務所が所有する浚渫(しゅんせつ)船兼油回収船「清龍丸」と連携し、7月12日から7日間、物資輸送および給水と被災者の入浴支援をサポートしました。
被災地への物資輸送のほか、入浴設備として4人程度が入れる浴槽と洗い場がある浴室を2部屋備え、会議室や食堂を利用して約80人収容可能な待合室を確保できる清龍丸を港に停泊し、断水や倒壊により入浴できなくなった市民に入浴場所を提供するのが目的です。
現場での直接の対応は、船員と船舶所管の国交省職員が主に行い、私たち市職員は、ふ頭利用などの各種調整とSOLAS(制限区域)内での活動に伴う案内や誘導、その他の補助活動を担当しました。
期間中は男性489人、女性710人の計1,199人に入浴していただけると同時に、清龍丸に装備された洗濯機と乾燥機を活用し、被災地で不便が生じていた洗濯場所も提供することができたので、地域のお役に立てたと思います。
被災地の復旧とは結びつきにくい港ですが、災害時には輸送から入浴まで、船から対処できる様々な支援活動があるんですよ。
地元で暮らす我々も知らない大切な呉の歴史が非常に読みやすく描かれていると感じました。ぜひ多くの方にこういった呉の特性取り組みを目にしてほしいです。
良い記事、こういう記事こそ報道すべき