下水処理場の汚物をかきだす日々
――工事現場で印象に残るエピソードはありますか?
林 最近ではやはり、昨年夏に甚大な被害に見舞われた西日本豪雨の復旧関連の現場ですね。下水処理場の工事を手掛けていた関係で、広島県北部の被災地、安芸高田市向原地区から復旧工事の要請があり、私も豪雨直後の7月8日から10月までの約3か月間、現地に通い詰めました。
最初の1か月くらいは向原地区に入るまでの道に土砂や流木が流れ込み車が進めないので、障害物をどけて道を作る作業でした。舗道はめくれあがり、建屋が溢れかえる現地の様子はまさに惨憺たるもので、流木やがれきをかき分けながらの作業は困難を極めましたよ。
話によると、向原で被災された方の遺体が流されて広島市と海をはさんだ江田島で見つかったとのことですから、どれほど強烈な力が加わったことか、想像もつきません。
通れない道は迂回して遠回りしながら現地に着くと、下水処理場施設から溢れた汚物をかきだすことからスタートです。若い頃に初めて浄化槽の工事で入った現場で嗅いで閉口したような臭いが辺り一面に漂う中、作業を進めていきます。
もちろん重機やダンプカーを駆使するのですが、まだ下に埋まっておられる方がいるかもしれないので、状況を確かめながら注意深く作業しなければならないのも大変でした。
地域の皆さんはじめ、多くの方が尽力し、現在の向原地区は、ずいぶん復旧も進みました。私たちの仕事が少しでもお役に立てていれば幸いです。
鳶職人だけでなく、特殊工事の職人も目指してほしい
――経営者として今後の課題は?
林 創業者である父が、バブルの頃も地道な展開を心掛け、会社にお金を残す経営方針を貫いてきたことから、特に大きな危機を迎えることなく今日に至ることができました。その方針は、私も引き継ごうと思っています。
会社を継続するためには、やはり良い人材が必要です。これからさらに職人不足が加速するので、新卒など若い人を育てていきたいですね。この世界を希望される方は、何かひとつできる技術があれば大丈夫。
例えば、ウチの現場責任者はもともと型枠大工一本でやってきた人間ですが、今では左官も、足場も、鉄筋も全てこなせるようになっています。ひとつでも得意な技術があれば、いずれ何でもできる職人になれると思いますね。
ただ、建設業に興味を持つ若い人は、わが社のような特殊な工事で多くの技術を必要とされる会社よりも、現場で仕事が覚えやすく、職人気分が味わえる鳶や塗装などに流れていってしまいます。
有望な若者を1人でも確保したいので、まずはいま勤めてくれている社員たちの子息からスカウトしていこうかと目論んでいます(笑)。
――それにしても立派な体格です。今もプライベートで何かスポーツを?
林 酒の席は好きですが、お酒が飲めない体質だしタバコも吸わないので、食べるほうが専門です。趣味といえば、もっぱら「筋トレ」と「バイク」ですね。
まず筋トレは、昔スポーツジムに通っていたのですが、仕事が遅くなるとジムが閉店するため、家を建てた時に思い切って自分専用の「筋トレルーム」を作ってしまいました。ちょっとした設備も揃えているので毎日、帰宅して1時間から1時間半くらい“大胸筋”とか“三頭筋”とか、強化するメニューを決めてトレーニングしています。
バイクは、旧車のハーレーダビットソンが愛車です。若い頃に400㏄は乗っていたのですが、3年ほど前に大型免許を取得したのを機に1938年製造のハーレーを乗り始めました。古いバイクなのでよく「壊れませんか?」と聞かれますが、旧車には今のバイクのように電子制御部品が使われておらず構造が単純な分、まず故障しませんよ。
私の場合、筋トレとバイクでストレスは解消できますね。ついでに身体能力や腕力も鍛えられるので、現場の力仕事にはきっと役立っているはずです(笑)。
――ありがとうございました。
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かっこいい!こういう人になりたい!
林社長さん、素敵です。
44歳でしたら平成4年夏の甲子園ですね。その裏にそんな出来事があったとは…これからも体育会系で熱く負けず嫌いを武器に、御社にしかできない喜ばれる仕事をたくさんしてほしいです。
林社長さんのハーレー姿、男の中の男といった印象です!!
私も頑張って目指したい姿ですね。