水のインフラ整備技術は、どんな工事にも応用が利く
――林工業の2代目としての自覚が出てきたわけですね。
林 そんな立派なものではないですよ。当時の専務はもともと父の発注先の浄化槽メーカーの社員だった方で、言うなれば浄化槽など水処理のスペシャリストでした。
生意気な私は、その専門家の下で言われるままに動くよりも、自分の力で開拓できる分野で動きたいと思い始めました。
私が取得した資格を活かせば、会社の仕事の幅も広がると考え、手始めに建築・土木工事の営業をかけてみたところ、運よくマツダや山崎製パンといった大手工場の建築の仕事をいただけたんです。
併せて「県工OB」のつながりで、ありがたいことに砂防工事や高速道路の橋梁工事などの大型土木工事も入って来るようになりました。

広島市安佐北区鈴張地区での砂防工事
ウチの場合、それまで水のインフラ整備を専門にやってきましたが、掘削から型枠、鉄筋、足場まで全て自社でこなしてきたので、どんな工事にも応用が効き、対応できない現場はまずありません。
受注も増え、「水処理以外のこともやろう」と私が目指した技術営業はひとまず成功したわけですが、一方で行き詰まりも感じていました。
「昔の浄化槽を直せます!」が管理業者や役所から大反響
――事業拡大に成功されたようですが、何か問題がありましたか?
林 営業品目は広がったものの、結局、水処理関係は特殊工事なので、他の工事よりも単価が良いんですよ。利益率を考慮すると、他の業者と被らない仕事、つまり「ウチしかできない仕事を強化すべき」で、それに該当するのがノウハウや技術を持つ業者があまり見当たらない古い浄化槽の修理やメンテナンスに関する工事でした。
モノは試しと、インターネットで中国5県にある浄化槽管理業者や役所の衛生部門を軒並み調べて、「昔の浄化槽を直せます!」の謳い文句付きで、修理の過程を解説するビフォーアフターの写真を添付した資料を郵送してみました。「10件でも問い合わせがあれば御の字」と考えていましたが、予想を大きく上回る反応がありました。
昔の浄化槽がある地区は、島しょ部や山間部、坂の上といった下水が通らず過疎化が進む地域です。従って、まだまだ昔の浄化槽が残っているはずですし、これからなくなることもないでしょう。
修理を希望される声が多いということは、浄化槽の仕組みを理解し修理ができる数少ない地域業者として、林工業が頼りにされているわけです。
私たちも競合先のいない利益率の良いビジネスというよりも、人々の生活環境を守る使命を担う重要な仕事として取り組む事業になりました。
かっこいい!こういう人になりたい!
林社長さん、素敵です。
44歳でしたら平成4年夏の甲子園ですね。その裏にそんな出来事があったとは…これからも体育会系で熱く負けず嫌いを武器に、御社にしかできない喜ばれる仕事をたくさんしてほしいです。
林社長さんのハーレー姿、男の中の男といった印象です!!
私も頑張って目指したい姿ですね。