鴻池組グループの一員として100億円企業に成長
――鴻池ビルテクノと、鴻池組との関係は?
大林愼二 鴻池ビルテクノは鴻池組100%出資の子会社です。リニューアル工事が主体で、コンサル、設計・施工・保守管理まで一気通貫で業務を行っていることが強みです。
小規模な新築工事も行っています。親会社である鴻池組と連携し、工事内容や規模によりどちらが担当するかを決めます。もちろん、鴻池ビルテクノ独自のお客様も多数いらっしゃいます。
そもそも、鴻池ビルテクノはリニューアル・メンテナンス事業を専門に行なうことを目的として設立されました。そのため、元々は保守管理に強かったのですが、今その割合は全体売上の2%程度。主力は改修修繕工事です。リニューアル工事では、鴻池組との連携によるコンバージョンの提案や、遮熱断熱塗料・高効率設備機器を採用した省エネ改修工事の提案、設計・施工などを行っています。
最近では、サステナブル社会の実現のために建物の長寿命化が必要になってきているので、耐震化支援制度を利用した耐震診断から耐震改修工事への一貫した工事を、マンション・事務所・工場・学校などで幅広く展開しています。
とりわけ、オフィスビル、工場・倉庫、商業施設での大規模なリニューアル工事や、幼稚園や老健施設、工場での比較的小規模の新築工事にも力を入れています。昨年の売上は93億円でしたが、今期は受注額・完工高ともに100億円に達すると予想しています。
――技術者と技能者不足については?
大林愼二 鴻池組と鴻池ビルテクノの双方で技術者・技能者は不足しています。特に、鴻池ビルテクノでは現場管理者の平均年齢が非常に高く、中途採用を実施しているところですが、技能者を含め人手不足は一朝一夕に解決できることではありません。
これは、受注高・完工高とも関係しますが、仕事があったとしても、無理して数多く受注すると、現場を細かく管理できなくなります。ですから、受注高・完工高は100億円あたりが、今の社員数に合致した数字とも言えます。鴻池ビルテクノとしては、現場管理者に対しては70歳まで頑張って欲しいとお願いしているところです。
「居ながら施工」で使える”繊維入り強化塗料”
――そもそも「天井」とは何かということから教えていただきたいのですが。
大林愼二 天井は文明の進化の歴史であり、文化だと思っています。竪穴式住居から高床式住居へ進化し、さらに寺社建築や城郭建築において「荘厳さ」を出すため天井が生まれました。
近年は意匠性から機能性へと要求性能も広がり、住空間の快適さや用途に沿った作業環境を作り出すために、無くてはならないアイテムであると思っています。
――その天井の落下防止を目的に「帯塗くん」を開発されましたが、その経緯は?
大林愼二 2011年の東日本大震災の際、天井の落下で多くの人的・物的な被害が発生しました。そこで、天井が脱落し重大な被害を及ぼす危険のある「特定天井」を補強する技術基準を定めました。具体的には、高さ6m超、面積200m2超、質量2kg/m2超の吊り天井で、日常利用する場所に設置されているものを指します。
従来のフェールセーフ工法であれば、ネットで落下した天井を受け止める工法や天井下にワイヤメッシュ等を取り付け躯体から吊るす工法などがあります。ですが、見た目が悪かったり、天井に取り付けられた設備機器を取り外す必要があったりで、手間と費用がかかります。

和洋学園講堂 天井落下防止処置工事
施設によっては使用した状態で天井工事を行う「居ながら施工」を迫られる場合もあります。そこで、なにかいいアイディアはないかと思案していました。
そんな時、鴻池組技術研究所から「引張り強度の非常に強い”繊維入り強化塗料”という物があるが、話を聞いてみてくれないか?」との依頼がありました。話を聞いているうちに、これを「天井落下防止に応用できないか?」とのひらめきがあり、スタッフを集めて実現性の検討に入りました。
権力を振りかざす世間知らずの勘違い野郎どもは本当に消えていただきたいです。