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サブコンの「デジタル化戦略」に関する提言

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公開日:2019.03.18 / 最終更新日:2021.11.16
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コミュニケーションプラットフォームの構築

また、サブコンは下請け企業との連絡体制も強化しておかなければいけない。当然のことながら、下請け間との連絡もゼネコンのデジタルプラットフォーム上で行うことができれば理想的である。私の視座であれば当然そのことも留意してプラットフォームを構築するが、実際にどのようなものを利用するかは、サブコンは自分の意思で決定できないという弱点がある。

さらに、サブコンの下請け企業は施工業者である可能性が高い。すなわち屋外作業が多く、パソコンを利用する機会が少ない。恐らくiPadなど大きなデバイスを日常的に持ち歩くこともない(普及率の程はわからないが、配管工がiPadを持って現場で作業をする光景は想像し難い)。

もしゼネコンが構築したデジタルプラットフォームが施工業者にとって使い難いものであるなら、自分たちで構築しよう。ちなみにこの点もガバナンス締結時に確認しておきたい点でもある。

下請け企業と念密な連携を取るのであれば、どのような施策を取るべきであろうか。こういうことを考える場合、まず相手がどのような人物であるか(特定の個人のことではなく、全体としてどういうタイプなのか)を分析する。これをペルソナ分析と呼ぶ(ここでは既にある程度のペルソナ分析を終えている)。

つまり屋外作業が多く、パソコンやiPadなどは持っていない。恐らく、主な連絡手段は電話であろう。このような状況を把握した上で適切な施策を考えていく。

まず、図面はどのように見せたら良いのか。紙という手段が手っ取り早そうだが、作業員1人が現場を隅から隅まで見る必要があるだろうか。むしろ、現場の1箇所を様々な角度から見ることができる方がよっぽど効果的ではないだろうか。

それならばiPadのように大きな画面は必要ない。スマートフォンの画面でも十分対応できる。さらに片手で図面を確認できることは、作業員の安全にとってもいい。またスマートフォンであれば図面の枚数を気にする必要はない。

また、作業指示書などの書類は紙や紙のようなエクセルよりも、スマートフォンのスクロールのように縦長である方が便利だ。それならばいっそシステム化をしても良いかもしれない(ちなみにこのような発想は私でなくても考えつくので既にアプリケーションが市販されている)。

さらに、これまでの連絡手段が電話しかなかったことも考慮すべきだ。というのも、現場作業では細かなところが分からないといったことはしょっちゅうある。また、上述したような作業指示書などと違い、このような場合のコミュニケーションはカジュアルなものだ。

このような場合、電話やメールよりLINEのようなチャットと呼ばれるコミュニケーションツールの方が作業生産性を高めることが知られている。

チャットによるコミュニケーションのほうが作業生産性は向上する

だが、実際にLINEを仕事で使えば(実際に使っている人も中にはいると思うのだが)、これは大抵企業のITポリシーに即していない。なぜなら機密保全や監視統制が効かないからだ。LINEも当然それを知っていて企業向けのLINE WORKSというサービスを提供している。また同種のアプリケーションとしてFacebookはWorkplace、MicrosoftはMicrosoft Teamというサービスをそれぞれ提供している。

重要なことはこれらのサービスを導入することではなく、以下に下請けを引き込んで利用させるかということである。これは上述の元請けとのガバナンス締結と全く同じ構図である。つまり、サブコンは元請けのプラットフォームを最大限利用しながら、自社においても同様のサービスを構築する必要が出てくるわけである。

ただし本来ならばプラットフォームが二重、三重に存在することは良くない。現場に混乱が生じるからである。この問題に対処するため、次のテーマである専門領域におけるデジタル化技術の採用手法としてリーンスタートアップについて触れる。

これはデジタル化技術といった高度な技術の適用からチャットアプリの適用まで、様々なケースで応用が可能な手法だ。

専門領域におけるデジタル化技術の採用

i-Constrctionについて触れる上で、サブコンほど難易度が高い企業はないかもしれない。

これはi-Construction以外にも言えることだが、専門性が高くなればなるほど市場は小さくなる。例えば配管検査を行うドローンを専門に開発している企業はないし(もちろん、さまざまなロボットやドローンを開発している企業が配管検査用のドローンを開発していることはあるかもしれないが)、ケーブル導管のどれが所定の場所の配管なのかを特定するような機器もない。

ただし市場が小さいということは、一方で探しやすいというメリットもある。日本には421万社の企業が存在し、その99.7%が中小企業である。中小企業はニッチ市場に狙いを定め、製品開発を日々行なっていることを考えれば、専門性の高いサブコン向けのi-Construction市場に製品を投入してくる企業がいつ出てきてもおかしくない。

中小企業の問題点は製品を紹介する機会が少ないことにあるが、この点は国交省が行なっている企業マッチングイベントなどを活用することで解消できそうだ(私も何度か参加したことがあるが、水中3Dスキャナー付き探査ドローンがどのような分野でどのように役に立つのか見当も付かなかった。このような点は専門性の高いサブコンのエンジニアの方が良いアイデアが浮かびそうだ)。

さて、仮に専門性が高く、かつ有望そうな技術が発明されたとしよう。だが、需要が低い割に製品価格は高いとする(規模の経済が働かない場合は多くがこれに当てはまる)。この場合、ゼネコンと同じようにやはり現場単位で調達することは難しい。そこで全社的に購買することを検討するわけだが、ゼネコンと異なるのは専門性の高さだ。

製品が専門性の高い分野に向けたニッチな製品であればあるほど、汎用性が効かない。つまり全部の現場で利用するほどではないし、かといって全く使わないわけでもないといった製品だ。

このような製品は一見購入するに値しないように思えるが、運用の仕方によって自社にとって強力な強みとなるケースもある。そこで、ここでリーンスタートアップという手法を紹介したい。

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この記事を書いた人

三ツ橋 象平
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1987年生まれ。青山学院大学大学院理工学研究科修士。株式会社大林組に入社。設計・施工に従事後、システムの企画・開発を行う。その後、オートデスク株式会社に入社。テクニカルスペシャリストとして従事。現在は外資系コンサルティングファームにて建設業、製造業のコンサルティングに従事。
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