シリコンバレーの「リーンスタートアップ」
リーンスタートアップとは、シリコンバレーで考案された起業手法だ。シリコンバレーといえば、最先端企業が軒並み誕生した地域として知られている。しかし、実際にはシリコンバレーで成功する確率は1,000社のうち3社程度である。
この低い成功率を改善するために考案されたのがリーンスタートアップという考え方だ。専門の本も多数売られているので、より深く知りたいという方はそちらを読まれると良い。
ここでは簡単にエッセンスだけを紹介する。リーンスタートアップ(以下、リーンと呼ぶ。ちなみにリーンは「無駄がない」という意味)の手法の最大の特徴は、「お金をかけずに、ひたすら改善を続ける」ということだ。特に、お金をかけないという考え方は、デジタル企業が多いシリコンバレーならではの考え方である。
リーンに行うためには、製品より先にサービスモデルを構築する。サービスモデルと言われるとわかりにくいと思うかもしれないが、顧客に対して何を提供するかを考えるということである。
サービスモデルが決定したら、そのサービスを実現するための製品を作ったり、買ったりする。ここから通常のリーン手法と異なるのだが、製品を購買する場合はなるべく安価に、あるいは無料で手に入れるのだ。
例えば、先程説明した、あまり使わないがあれば便利な専門機器をイメージしよう。この機器を購入するとなれば多額の投資が必要になる。普通、こういう場合に第一に考えるのはレンタルするということだろう。しかし、リーンな考え方をすれば、レンタルよりもまず無料で借りることができないかと考える。
そもそも専門性の高い、高度な機器という製品はそれ自体に改善の余地がある。製品を売るのであれば汎用性が高いほうが市場を拡大できるし、高度な専門性も改良すれば誰でも使えるものになるはずだ。それが実現できないのはメーカーにその手の智見が不足しているからである。
よって、まず考えるべきは、そのメーカーと提携することができないかということである。そして試用させてもらう代わりに、改善点やデータなどを提供する。メーカーはこれらの情報に基づき改良を重ね、同時に試用した側は製品を使ったサービスモデルの改善を行う。
大切なことは、これを一度ではなく何度も何度も繰り返すことである。しかもなるべく早く、利用、課題、改善を繰り返す。こうすることで両社とも新たな製品やサービスを作ることができ、成長することができる。
また、サブコンにとっても機材の管理が重要になるのだが、これはゼネコンのデジタル戦略に向けた提言でまとめているのでここでは割愛する。
最も大切なのは、発注者・下請けとの連携力
ゼネコンにとってもサブコンにとっても、大切なことはその前後にあるお客様と下請け企業との連携力である。これは製造業においても同じなのだが、製造業は工場という固定された空間、作業者への作業の割り当て、製造ラインが明確であるため、連携力を発揮しやすい。
その点、建設業は作業空間が限定されておらず、人も流動的で、製造ラインが確立されていない。だからこそ、生産性を上げるためには徹底的な作業者目線、お客様目線が求められるのである。
今回はサブコンへの提言としてお伝えしたが、上述したことはゼネコン、サブコン、地場建設会社のカテゴリに左右されない。ただ、お客様と下請けという立場の違いから施策が異なるだけである。
権力を振りかざす世間知らずの勘違い野郎どもは本当に消えていただきたいです。