巡り巡って空調設備工事の技術者へ
――今の会社はどんな会社ですか?
高宮 リノベートファームは、地元の大手空調設備企業に17年間勤めた社長(岡田真規氏)が独立して2009年10月に興した建築設備会社です。空調設備、給排水設備、住宅リノベーションの企画設計・施工・販売を行っています。
――従業員は何名ぐらい?
高宮 従業員は11人で、若い社員が多く平均年齢は30代半ばくらいです。「営業チーム」、「管理チーム」、「技術チーム」で構成されていて、私と建築畑出身の方をメンバーとする技術チームが、現場の施工管理を担当しています。
リノベートファームは「快適で地球にやさしい住環境創りの提供」がテーマです。ほかにも、省エネ設備・省メンテナンス企画設計など、住環境に関する業務を幅広く手掛けています。

土日、祝日や夜間が多い空調設備工事に精を出す高宮さん
――技術チームで高宮さんが担当する現場は?
高宮 主に空調工事です。それまでやってきた工事の分野とは異なっていましたが、前の会社で数多くの現場を踏ませてもらっていたので、対応に戸惑うことはありませんでした。
ただ、入社当初はまだ空調の知識や施工経験が少なかったので、疑問があると先輩や協力業者の職人さんに教わっていました。
現場を管理する私の役目は、お客様から仕事をいただいて、納期とか工事日程を協力業者や職人さんと打ち合わせ、内容をお客様に説明したのち工事に移行する・・・のが基本の流れです。
――業務で心掛けていることは?
高宮 一番気を遣うのは、お客様の意に沿った工事をできるよう対応や連携をきちんとフォローすることですね。
自分としてはお客様、協力業者や職人さんに対して常に相手の立場で物事を考えるように心がけています。
まだまだ勉強することがたくさんあります。管工事施工管理技士の資格を持っていないので、この取得も自分の課題の一つです。
夏場のエアコン工事は地獄…天敵はネズミ
――空調工事現場では、具体的にどのような仕事をしていますか?
高宮 主に飲食店などの新店舗、介護施設、福祉施設などのエアコン設置工事や厨房設備の換気工事といった空調関連を請け負っています。
原則として、作業は人が動いている時間帯にはできないので、土日や祝日に行うことが多いです。飲食店などは閉店後の10時くらいから深夜までというのが通常のパターンですね。
――大変な仕事ですね。
高宮 普通のエアコンなら2時間くらいで工事完了ですが、飲食店の業務用エアコンのように大型で天井の中に潜り込んで作業しなければならない場合は手間も多くて、朝までかかることもしばしばです。
専門の職人さんが動けないときは私もパネルを貼ったり、リモコンを付けたりして作業をサポートしています。
――想定外のことも多い?
高宮 現場では何が起こるかわかりません。お客様の都合で急に予定を変えられたり、「今日すぐにやってくれ」とか無理な注文をされたり、いざ天井をはぐってみたら中の形状が違っていて、当初のスペースにエアコンが設置できなかったり・・・。
不測の事態もよくあります。そんなときは、作業を全部最初から組み直しになるので大変ですね。
工事エリアは限定していません。広島県内に限らず、お話があればどこにでも足を運びます。会社の男性陣では私が一番若いので、とりあえず自分が動かないと・・・。
――ずばり空調設備工事の仕事で辛いことは?
高宮 エアコンを筆頭とする空調設備の工事は、暑い場所か寒い場所での作業が基本で、快適な場所で行うことはまずありません。
真夏の暑い日に天井の中に入る時は地獄です。何しろ、家中の熱気が集まるところですから。
長時間作業していると、タオルを絞ると水たまりができるくらい汗が出ます。年配のベテラン職人さんになると、現場のルールとして暑さや寒さへの自分の対処法を持っているようです。
――大変な環境ですね。
高宮 あとツラいのは飲食店の工事でよく出会うネズミですね。天井の蓋についている点検口を開けた途端、大きなネズミが飛び出してきてビックリすることがあります。
厨房の天井裏には彼らの通り道があるのか、エアコンの電気配線をかじったネズミが感電して死んでいたり・・・。
気持ちの良いものではありませんね。空調設備工事を行う私たちにとって、ネズミは一番の天敵です。