「改革せねば滅びるのみ」イギリスの建設業
建設業界のイメージは危機に瀕しており、それが人材誘致を難しくしている。
イギリスで2番目の企業規模である建設会社Kier Group(キアーグループ)は、建設業界のイメージの問題と人材不足に関する研究報告書を公表している。そのミッションをストレートに「改革せねば滅びるのみ」と表明している。
キアーは、建設業界の仕事に関する古い認識を変え、先進のテクノロジーなど、若い世代に訴求する要素をプロモートしたいと願っている。そこで労働力のギャップを埋めるための手段として、キアーは「Shaping Your World」キャンペーンを考えた。
このキャンペーンでは全従業員の1%がアンバサダーに指名され、小中学校や専門学校、大学を訪問して雇用の機会を語り合い、これまでの建設業界の発展を強調する。
キアーの実習プログラムには16歳以上であれば誰でも参加可能。これは2020年までに300万人の実習生受け入れ資金を提供する、イギリス政府のイニシアチブに合致している。
こうしたプログラムは学生にエキスパートから学ぶ機会を提供するが、両者にメリットがある。デジタルに通じた若い世代と業務に取り組むことは、熟練の建築家やエンジニアにも、新しい技法に対する柔軟性を保つのに役立つ。
キアーグループのリージョナルビルディングディレクター、リチャード・デイヴィス氏は「トレーニングビデオやコミュニケーションの道具は確実に根付きつつあります」と話す。
「それに、若い世代はFacebookやYouTubeを使って、より効果的にツールを活用する方法を示し、私のような古株に逆メンター制度を利用する機会を与えてくれています。今は大改革の時代だと思います」
キアーの活動範囲は教室内にとどまらない。主要なプロジェクト現場にスキャン可能な「Virtual World Plaques」を導入し、一般市民が各自のスマートフォンを使用して現場の歴史、ケーススタディ、求人情報、プロジェクトのストーリーにアクセスできるようにしている。
Virtual World Plaquesのユニークビジット数は、毎月10,000を記録しており、姉妹版の「Virtual Interactive Built Environment (VIBE)」のウェブサイトでは、建設業界に興味を持つ人にダウンロード可能なキャリアガイドを提供している。
建設業界の”陳腐な固定観念”を変革するテクノロジー
建設業界は、AR/VRやドローン、AIなどの新たなテクノロジーへ、さらに依存するようになっている。にもかかわらず、City & Guilds Groupのリサーチによると、建設会社の54%が技能不足の影響を受けている。
テクノロジーに後れをとることは、生産性と利益の低下につながる。こうした進展に後れをとらず前進することは、業界のベテランには時として課題となる一方、テクノロジーは業界文化と陳腐なステレオタイプの両方を変えるのに役立つ。
キアーグループでデジタル建設エンジニア実習プログラムに参加中のサム・ドーソン氏は「最新のテクノロジーは、建設業界に参入する、全く新しいタイプの人材に訴求する効果があります」と話す。
「テクノロジーやコーディングなどに興味を持つ人材を取り込める可能性があります。彼らは『そうか、こういう知識を建設に応用できるのか』と気づくでしょう。直接的に注目を集め、彼らを建設業界へと向かわせます」。
ロボットや3Dモデリングなど、先進のテクノロジーは優れたセールスポイントだが、確立された多くの仕事を簡単にもする。
キアーでは実習プログラム、インターンシップ、マネージメントプログラムを通じて従業員に新技術を身につける機会を提供し、業界内での新たな雇用機会に扉を開いている。
急にオシャレになってびっくりした!
イギリスも日本と同じような人手不足や社会の誤認に悩まされているとは知りませんでした。てっきり日本だけの問題かと。海外事例から国内に応用できる施策があれば良いですね。