穿孔・モルタル注入・ロックボルト挿入を完全機械化
鹿島は、フランスの機械メーカー Robodrill(ロボドリル)社と共同で、山岳トンネル工事でのロックボルト工の穿孔からモルタル注入、ロックボルト挿入までの一連作業を完全機械化するロックボルト打設専用機を開発した。
ロックボルト打設専用機は、汎用のホイールローダをベースに、前方にロックボルト工打設専用ブーム1本と、装薬作業などを行うバスケットを実装した作業用ブーム2本、後方に油圧パックを搭載。さらに、穿孔位置と打設角度を示す相対座標によるガイダンスシステムも装備している。
これにより、センターブーム1本で穿孔からモルタル注入、ロックボルト挿入までの一連の作業を完全に機械化した。
その結果、作業員の肉体的負担の大きかった高所でのロックボルトの装填作業が減り、肌落ちの危険性のある切羽近傍での作業はゼロに。作業員の安全の確保に繋がる。
また、ガイダンスシステムを用いることで、測量作業の人員減・時間短縮も図ることができる。
センターブーム1本でロックボルト工を完結
ロックボルト工打設専用ブームには、穿孔用ガイドセル、モルタル注入用ガイドセル、ロックボルト挿入用ガイドセルを搭載し、それぞれのガイドセルが同心円上で動作する。
一度機械をセットすればブームを動かすことなく、穿孔からロックボルト挿入までの一連作業が可能で、ロックボルトホルダーは1回の補給で最大9本(ガイドセル:1本、チェンジャー:8本)搭載できる。
また、既に打設したロックボルト頭部の位置を、ロックボルト工打設専用ブームの穿孔用ガイドセルで3点ピックアップすることで、次に打設するロックボルトの穿孔位置と打設角度を、キャビン内の画面でオペレータにガイダンスするシステムを開発し、装備している。
そのため、専用機本体の絶対座標をトータルステーションなどの機器を用いて測量する作業がなくなる。キャビン内にいる1名のオペレータによるブーム操作のみで、相対的な穿孔位置と打設角度を短時間に確定することが可能となった。
トンネル掘削は完全自動化の時代へ
鹿島は、ロックボルト打設専用機を高知県で施工中の日下川新規放水路工事に適用した。その結果、オペレータ1名によるロックボルト工の一連作業が可能であることを確認した。
また、ロックボルトを持ち上げ、孔に手で押し込む苦渋作業が無くなったことで作業環境が改善され、ロックボルト1本当たりの打設効率が従来の1.3倍に向上している。
鹿島は今後、ロックボルト工打設専用ブームのフルオート制御や、モルタル自動計量注入システムとの連動などを図り、最終的にはロックボルト工も含めたトンネル掘削全般の完全自動化を目指していく。