「若い女性では話にならない」と住民から門前払い
――男性が多い現場で働くうえで苦労したことは?
原田 現場では、「女性だから」という理由で苦労したことはほとんどありません。ただ、住民の方からの苦情に対応する仕事では大変だった時もあります。
「道路がガタガタなので改善して」「川の草が伸びて邪魔だから刈って」などの連絡をしてきた住民の方に話を聞きに行った時、人によっては「もっと上の人を連れて来て」と言われたり、「あなたでは話にならない」とあしらわれたりすることもあるんです。
「女性だから」「若手だから」ということで頼りないのでしょうね。まず話をしてから「この人には任せられない」と判断されるなら仕方がないですが、門前払いですから。
また、現場監督をしている時に工事の現場で女性に出会ったことがなく、男性が多い職場ではありますが、女性技師の交流会に参加して話をしたり相談したりすることもできるので心強いです。
――女性技師の交流会とは、どのような集まりですか?
原田 群馬県建設技術協会が主催で、2年に1回、ホテルなどで開催されます。集まるのは県の職員が多いのですが、県内の建設会社の女性や建設コンサルタントに勤務する女性なども参加しています。
交流会以外の場所で「子育てしながら建設現場で働くのは正直厳しい」という話を聞いたこともありますが、交流会では子育てと仕事を両立させている先輩女性の話も聞くことができ、今後の参考になります。
――原田さんの職場も、出産後も仕事を続けられる環境が整っていますか?
原田 産休・育休の制度がきちんと整備されていて、時短勤務も利用できる職場です。私は2017年4月から、河川課に配属されました。現在はデスクワークが中心で、産休前も育休明けも働きやすい環境だと思います。現場監督の業務を担い、産休・育休・時短を利用し子育てと仕事を両立している女性もいますよ。
ただ、子どもの都合で急に休んだ時に現場監督員と連絡が取れず、工事が進まないと困るので、いつ休むかわからない時期は現場に出る仕事を少なくするなど、配慮してもらえると思います。
次は砂防の仕事に携わりたい
――現在は河川課で働いているのですね。
原田 はい。土木事務所ではほとんど河川に関わったことがなかったので、「やってみたい」と志望した課です。河川事業の予算管理や、土木事務所への技術的な指導などを行っています。私が所属する係には4人の係員がいて、県内に12ヶ所ある土木事務所のうち、1人で3つの土木事務所を担当しています。
技術的な指導は、「設計中の護岸をこのような構造にしたいのですが、大丈夫ですか?」など、土木事務所からの相談を受ける業務です。道路や県の施設などが関わる河川工事の相談も多く、河川課だけでは対処できない時はほかの課とも連携しながら業務を進行していきます。
事務所内での仕事が中心ですが、各土木事務所の予算の要望をまとめて国に要望しに行く仕事もあるため、年に1回は現場を見に行くようにしています。年1回とは言わず普段から現場を確認できれば良いのですが、片道1時間かかってしまう場所もあり、なかなか時間を取れないのが現実です。
――今後携わりたい分野はありますか?
原田 通常3年くらいで異動があるのですが、2019年度で河川課が3年目なので、来年は異動になるかもしれません。今度は現場で砂防の仕事をしてみたいですね。
土木事務所では街の中で道路工事に関わることが多く、今はデスクワーク中心で河川の事業に携わっている…。平地での仕事ばかりだったので、山地での業務も経験して仕事の幅を広げていけたらと考えています。
なかなか思い通りの課には配属されませんが、希望が通ることを願っています!
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