現代の技術では造れない建物
修復にかかった費用は、約3,000万円。基本構造は崩さずに改修したが、同じ建物を今造ろうとすれば、3,000万円では済まない。それどころか、いくらお金を出しても再現できない部分も多いという。
「まず、今は同じような質の木材が手に入らないんです。たとえば、この家の大黒柱は樹齢100年以上の水目桜で造られていますが、そんな木はもう残っていません。
柱には主に芯の部分を使いますから、これだけ太くて長い木材を作るには、すごい太さと長さの木が必要なんです。昔は屋敷の所有者が木材のための山を持っていて、そこから木を切って運んでいたようです」
木材以外にも、この建物を現代では再現できない理由があるという。
「こんなに大きな吹き抜けを木だけで作る技術が、今はないんじゃないかと思います。建てられるとしたら、宮大工さんくらいじゃないでしょうか。二階にある書院の欄間なんかもめちゃくちゃ細かくて、それを見た建具屋さんが『これは無理、もう作れん』と言っていました。

今の建築基準法では造れない吹き抜け廊下

細かい造りの欄間
そもそも、この吹き抜け部分は今の建築基準法だと作れないんです。ほかにも、基礎を固定したり、壁に筋交いを入れなければいけなかったり。材料、技術、法律…色んな理由で、現代では作れない建物なんです」
欄間でエアコン隠し…古民家を違和感なく今風に変える工夫
基本的には元の建物を最大限残して改修しているが、変えたところもある。
「照明や空調、トイレは新しく設置しました。窓ガラスも後から入れています。改修したといっても古民家なので、構造的に冬はすごく寒いんです。暖房器具が目立たないように、板の間には床暖房を入れ、畳の間の絨毯の下にはホットカーペットを敷いたりしています」
油機エンジニアリングでは、解体現場で廃棄になったが、使えそうな木材などをストックしてきた。「古材の森」には、そのストックがかなり投入されているという。
「エアコンは、ストックしていた欄間で隠しています。町屋でエアコンが見えたらかっこ悪いので、ちょっとした工夫ですね。

欄間で隠したエアコン
ほかにも古い板でレジのカウンターを作ったり、寒くないように土間に板を張ったり。違和感なく改修できるよう、材料にも気を遣いました」
油機エンジニアリングは建機アタッチメントの会社。飲食のプロではない。当初は手探り状態だったという。
「最初は自社で運営する想定ではありませんでした。改修後、別の飲食店に場所を貸していたんですが、そこまで人通りの多い場所ではないのでうまくいかず、半年くらいで閉店になって。
それからは、細々と自社で古材を販売する場所にしていました。するとだんだん、来たお客さんから『いいところだからここでお茶を飲みたい、ご飯を食べたい』と要望が出るようになって。
それに応えて喫茶を出し始め、今のような形になりました。試行錯誤して、ようやく単価も上げられるようになったんです」

「古材の森ランチ」¥1,800
素敵な出来事。有難うございます。
すばらしい
登録有形文化財は裏や内部はリフォーム可能です。間違った記事は誤解を呼びます。また、文化財には、修理の補助金もありますし、固定資産税や相続税の優遇もあります。正しい情報をお願いします。
登録有形文化財って色々面倒くさいじゃん
当然言ってるようなメリットもあるけど
それよりもっと気楽に市民や観光客に利用してもらって建物を活かしているって内容でしょ
指摘の方向性がずれてるよ