若い子に育ってもらわないと、ボクらがシンドイ

有澤由和さん。ミタニ建設工業株式会社 土木部
――今担当しているお仕事は?
有澤さん 公共土木の施工管理の仕事をしています。高校を卒業してから23年間、ミタニ建設工業で施工管理に携わってきました。自分の親は公務員で、息子も公務員にさせたかったようですが、「現場監督をやりたい」という自分の思いがあったので、ミタニ建設工業に入社したわけです。
初めて現場代理人に就いたのは13年前で、国交省の現場でした。下請けの現場を担当することが多かったので、ちょっとデビューが遅かったんです。
――印象に残っている現場は?
有澤さん 良かった現場のことはいろいろと覚えていますが、イヤな思いをした現場はあまり記憶にありませんね(笑)。国の高規格道路の橋梁下部工事など、とくに発注者に恵まれ、点数が取れた現場は良く覚えています。キツかった現場は、導水トンネル工事の下請けの現場です。主任技術者として入ったのですが、やることも多くて、シンドかったです。

有澤さんが手がけた「葛島第2高架橋下部工事」
ミタニ建設工業には若い人があまりいないので、土木で言えば、ボクですら年齢が下から数えて6番目ぐらい。上の世代のほうが多いです。30歳台がほとんどいなくて、20歳台が少しずつ増えている感じですね。
自分の現場に若い子が入ったときは、いろいろ指導することはあります。最近の現場で監理技術者、現場代理人に名を連ねるのは、僕らの世代の人間ばかりなのが気になるところです。若い子に早く育ってもらわないと、「ボクらがシンドイ」ところがありますので(笑)。
――現場監督に求められるスキルは?
有澤さん 建設業はやっぱり「シンドイ」仕事です。本人にヤル気がないと、続かない仕事だと思います。
ボクが考える現場監督に必要なスキルは、やはりコミュニケーション能力だと思います。現場によっては、想像力も必要ですね。図面を見て、どういうモノができるか理解できないと、ちゃんと管理できないし、下請けさんにも説明できません。
あとは、実行力。自分で決めたことは、自信を持ってやっていく。土木の現場では、掘ったら水が出てきたとか、山が崩れたとか、必ずと言って良いほど予期しない出来事が起きるので、その辺の対応力も必要になってきます。
国の工事では、工事の追加とか変更がしばしばあります。昼間は現場を見て、夜、追加工事などの準備作業を行うことになります。工期的にも非常に厳しい現場でした。国では週休2日を推進していますが、工期の見直しをして欲しいところです。
――今後はどんな仕事がしたい?
有澤さん 会社にあまり経験者がいない仕事をしてみたいですね。橋梁やトンネルの補修工事の仕事が増えると思うので、とくに経験を積みたい工種です。
30代がいなくて20代が増えてるってことは、震災前は全然人を取ってなかったんだね。
それは国の発注量が少なかったのも要因だと思うけど、もっと長い目で建設投資額は考えたいね。