首都高速道路で初の女性技術者&技術系女性管理職
――会社には女性の土木技術者は何人いるのですか?
三村さん 15名です。全体の土木技術者数は400名ぐらいなので、4%弱ですね。
――それは多いんですか?
三村さん 多くはないと思います。私は女性の土木技術者の第一号だったんです。それから毎年採用を続けているわけですが、30年間で15名は少ないと思います。
――女性の技術者は三村さんが初めてだったんですか?
三村さん はい。総合職としても初めてでした。
――記念すべき第1号じゃないですか。
三村さん そう言われると、笑うしかないですね(笑)。そう言えば、私の先輩の話ですが、大学時点で拒否されたそうです。土木系の学科には、女性は入れなかったんです。
――大学もそんなことをするんですねえ。
三村さん 某超有名国立大学です(笑)。「悪いけど、土木は女子トイレないから、建築にしてくれ」と言われたそうです(笑)。
――首都高速道路では女性の管理職も少ない?
三村さん 技術系だと、私ともう3人ですね。事務系は8人いますけど。
――最初の技術系管理職は三村さん?
三村さん そうですね。まあ、一番年上なので(笑)。
ウチの会社を辞めないでください(笑)
――結婚、出産を機に、やりたい仕事ができなかったとかありますか?
三村さん あったとは思いますが、あまり気にしてないですね。これも男性も女性も一緒のところがあると思います。男性であっても、家庭の事情などで、あきらめざるを得ないこともあります。
そもそも組織に属したサラリーマンである以上、必ずしも自分が希望する仕事ができるわけではありませんよね。希望した仕事に配属してもらえないのは、「私が使えないから」なので(笑)。
――今後やりたい仕事とかは?
徳田さん 今はいろいろな「ものを見たい」という思いがあります。現場を知らないので、設計をしていてもなかなかイメージをつかめないでいる感じがしています。上司との面談でも「現物を見たい」という話はしたんです(笑)。同期の中には、実際に工事に入って、カタチになったものが見れるという人もいるので。
言い方は悪いですが、今の仕事は「机上の空論」と言うか、あくまで計算ベースの仕事という気がしています。もっと現物よりの視点を身につけたいです。新しいものだけでなく、補修なども含めて、幅広い視野を手に入れたいという思いが強いですね。新しいことを少しずつ勉強しながら、仕事をしているところです。
――三村さん、先輩としてアドバイスなどがあれば。
三村さん まずは、ウチの会社を辞めないでください(笑)。ウチの会社には、設計のほかにも調査や管理などいろいろな仕事があります。仕事が変わっても辞めないでと思っています。「苦労をムダにしない」ということを心がけてもらいたいですね。
仕事って、なんでも後につなげられるし、後につながらないものはないので。もし「ウチの会社はどうしてもムリ」と思っても、仕事は続けてほしいです。大変なこともあるけど、自分でお金を稼いでいれば、きっと面白いことができると思うので。
今の日本だと、自分のキャリアを一回切っちゃうと、そこで終わっちゃうでしょ。今は技術革新が激しいから。例えば、阪神淡路大震災の後、基準や仕様書がガラッと変わったんだけど、そのときにキャリアのブランクがあった技術者は、もう使いものにならないんです。なので、ずっとキャリアを続けたほうがお得かなと思います。
徳田さん がんばります。
三村さん がんばらなくて良いの。がんばらなくても続くから。シンドイと思ったら、がんばるのを「あきらめる」と大丈夫。とにかく続けてください。技術革新についていけるので。
徳田さん 重みのあるお言葉です(笑)。もともと仕事を続けていくつもりでしたし、「住めば都」的な考え方の持ち主なので、なんとかなると思っています。
三村さん それで良いんです。