厳しい設計監理が求められる難工事
――どの部分にお金がかかっているのですか?
諸橋室長 本体工事はもちろんですが、いろいろな支障物を移設したり、撤去するのにコストがかかります。日本橋川の一部を一時的に付け替える必要もあります。既存の八重洲線は日本橋川の川底近くを通っているので、これを工事するとなると、迂回するために、川を動かさなければなりません。
既存の首都高の橋脚も支障物になります。シールドの線形上に橋脚の基礎があるんです。橋脚を受けかえる必要もあります。下水道、電気、ガスなども線形上に通っているので、それらもすべて一時的に付け替えなければなりません。相当厳しい設計施工の監理が求められます。
――すごい手間ですね。
諸橋室長 東京メトロの三越前駅のコンコースも一時的に改修する必要もあります。どの程度改修するのかは現在協議中ですが、出入り口などを一時的に移設する必要があります。八重洲線と分岐する部分は、断面が大きく変わるので、ここは開削でやらざるを得ません。
開削に際しては、日本橋川をどうするかが問題になります。ここには一石橋などの橋も架かっているので、これらの橋も一時移設する必要があります。
――機能的に向上するところはあるのですか?
諸橋室長 現在は線形を川なりにつくっていますが、トンネルでこの制約がなくなることで、既存の線形に比べ、カーブが緩やかになって、走りやすくなります。
神田橋出入り口と神田橋ジャンクション間は、当時の設計なので、織り込みになっていて、東京駅から八重洲線を登っていくと、右側から合流し合流長さが全然ないんです。一旦停止しないと、合流できないようなジャンクションで、安全性に懸念があります。
今回の地下化事業に伴い、八重洲線が移動するほか、左側分合流に変わります。合流長も取れ合流が安全になりますし、神田橋から乗って、八重洲線に行くこともできるようになります。
工事の間は日本橋の景観が悪くなってしまう
――地下化事業をどうPRしていく予定ですか?
諸橋室長 事業規模も大きいですし、まちづくりと連携して道路を更新するのは、首都高としても初めての試みです。地元への説明をはじめ、今後事業をアピールする準備も進めていきたいと考えています。
地下化は首都高の大規模更新と合わせて、日本橋の景観を取り戻すための事業ですが、工事の間は景観を悪くすることになります。それも20年という長い期間続きます。周辺の景観に配慮した工事現場のあり方についても検討しているところです。
――今後のスケジュールは?
諸橋室長 9月に東京都の都市計画審議会で計画が議決されたので、早ければ10月上旬には告示されるだろうと考えています。その後、事業計画づくりに入ります。トンネルをつくり、その後、既存のルートの撤去完了にトータルで20年の事業期間になっています。工事着手は、オリンピック終了後を予定しています。
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