そもそも、なんでドローン使っているのか?
田島さん 遠いところ(茨城県筑西市)まで、ありがとうございます。今日は何でも聞いてください。

今回お話いただいた、大林組の田島僚さん(土木本部生産技術本部技術第二部)
――まず、どんな現場か教えていただいてもいいですか?
田島さん 今回の工事を含む全体のプロジェクトは、平成27年の豪雨により氾濫した鬼怒川の対策プロジェクトの1つです。ハード対策として、決壊した堤防の本格的な復旧や従来の想定では高さや幅が足りない箇所の整備が、全長45kmにわたって進められています。
大林組が担当するのは、この45kmの上流区間にあたる、茨城県筑西市の船玉から伊佐山という地区の全長2.8kmの堤防施工になります。工事名称は「H30鬼怒川左岸船玉伊佐山地区整備工事」、発注者は国土交通省関東地方整備局下館河川事務所です。

「H30鬼怒川左岸船玉伊佐山地区整備工事」工事位置図及び概要
――そもそも、なんでドローンを使っている?
田島さん ドローンで現場を空撮して、その映像を解析することで、点群データを得ることが目的です。
点群データとは、ドローンで空中から取得した座標(x、y、z)の情報のことです。GPSから取得する位置情報を、カメラやレーザースキャナで捉えたデータに埋め込むことで、位置情報をもつ点群データを作成します。このデータを専用ソフトで加工することで、3次元モデル作成をしたり、図面の作成や出来形管理などが行えるようになります。
従来なら、トータルステーションなどを用いて、地上で現地の地形などを計測し、2次元の平面図や設計図に起こしていましたが、ドローン測量によって計測やデータ収集にかかる時間を大幅に削減することができるようになりました。
具体的には、東京ドーム1個分の敷地のエリアを計測する場合ですと、地上での測量では、計測に3日、計測したデータをもとに断面図などにするためにはさらに3日程度かかります。ドローン測量であれば、撮影に半日、撮った写真を解析してしまえば、専用ソフトを使って断面図などを1日から1.5日程度で作成できます。
――実際に、ドローンでどうやって測量する?
田島さん ドローン測量には、基本的に「写真測量」と「レーザー測量」の二つの手法があります。
写真測量は、カメラを使った測量です。空撮した写真をつなぎ合わせて地表のデータを得るものです。
一方、レーザー測量は、レーザースキャナを使った測量です。ドローンに小型のレーザースキャナを搭載して、地上にレーザーを放射して反射したレーザーの距離情報とドローンの位置情報のデータから、地表の様子を記録していくものです。
この現場では、竹林が鬱蒼としている箇所があったため、その部分についてはレーザースキャナ搭載型ドローンを用いたレーザー測量を行いました。そうすることで、竹を伐採せずに地表面を計測することができ、通常だと全体で20日間ほどかかるところが、2日間で測量が完了しました。草木などの障害物や凹凸のある場所では、レーザー測量のほうが精度の高いデータを、より簡便に得ることができます。
ただ、写真を撮影するだけのドローンだと本体価格で数十万円程度から用意できますが、レーザースキャナ搭載型だと数百万円と非常に高価になってきます。
そのため、現場の規模に応じて、写真測量だけで満足するのか、それともレーザー測量のほうが良いのかは、現場調査の上、あらかじめ判断しておく必要があります。
――ドローンの操縦は誰でもできる?
田島さん 一般的な測量には、特別な資格は必要ないので、誰でもできます。お恥ずかしい話なんですけど、僕ドローン2~3回落としたことがあって。メーカーのせいにするわけじゃないですけど、旧型のドローンって飛行に安定感が無いんですよ。でも、今のドローンって手を離してもその場でホバリングしてくれるんです。それに、ソフトを使って飛行したい場所をあらかじめ指定することで、飛行経路を自動的に飛んで撮影してくれます。
だから、今のドローンは誰でも操縦できるんですよ。実際に触ってみると、「これなら俺もできるじゃん」ってびっくりすると思いますよ。
大林組でも、新人研修でドローンを使っています。僕はまだ慣れないですけど、今の若い世代はゲームもみんな3Dじゃないですか。だから、ドローンを飛ばして、3Dモデルを活用する、ということにそもそも障壁がないようで、操作もあっという間に習得していきます。

ドローンで撮影した現場風景
――ドローンを活用されていることは分かりましたが、PRISMで補助金を受けて取り組んでいることは?
田島さん 実際に現場を見ながらのほうが分かりやすいと思うので、今から移動しましょう。
ドローン飛ばすだけで全部完結するって思ってるおっさん多いよね
いい記事です。評定点のいらないドローンの開発は急務です。
コンサルも3次元設計は急務です。
発注者には、請負金額をあげて欲しいもんです。変更金額も支払うシステムが必要。
日本の場合、役所に技術者がいるのが、一番の問題。