喫煙者には二度と戻りたくない
――みなさんどういう気持ちを持つことで、卒煙できたのでしょう?
鶴岡さん 当時の喫煙者120名へアンケート調査を実施して、喫煙者に戻らなかった理由を調査してみると、「喫煙者には二度と戻りたくないという意地」や「家族と仲間に支えられたから」と回答する社員が全体の78%いました。
喫煙者もどこかのタイミングでの卒煙を模索していたようで、いいキッカケだったと回想する人もいます。
――鈴木さんは喫煙していた当時を振り返ってどうですか?
鈴木さん お客様のご意見を見せてもらったことがあるのですが、やはり迷惑だったのかなと思います。せめてクルマの中で吸おうと呼びかけてはいましたが、結局、タバコの煙が上にのぼってベランダに干している布団などに臭いがついてしまうようなこともありますから。
――喫煙者ゼロを達成した今、お客様の反応はいかがですか?
鶴岡さん お客様の反応はとてもいいですよ。提携先企業からも「素晴らしい取組みだ」という声もいただいています。
現在は、当社のパートナー企業へも卒煙の取組みを拡げていき、建設業界全体のイメージアップにつなげるための活動として、一層力を入れています。毎年2回行われる安全大会では、喫煙者ゼロの取組みに力を入れているパートナー企業を表彰するなどして、取組みへの理解を深める活動も行っています。
――若い人から見て、喫煙者ゼロの取り組みはどうですか?
丸本さん 入社が決まった後の説明会ではじめて知ったのですが、とても嬉しかったことを覚えています。私の周囲には喫煙者の方がいないこともあって、タバコの臭いには特に敏感になるので。たとえば、電車に乗っている時に喫煙者の方が近くにいれば、臭いですぐわかりますから。
タバコの臭いはあまり得意ではないので、非喫煙者からすれば嬉しい制度です。
――鶴岡さんは?
鶴岡さん ありがたいですね。私も非喫煙者ですが、前職の仕事でも喫煙ルームの近くでは臭いが漏れていることもあって。正直、「タバコくさいな」と思っていましたから。
自社職人を抱え、営業から設計、施工までワンストップ
――無事、全社員の禁煙に成功したわけですが、施工の強みは?
鈴木さん 現在、30人の自社職人が活躍しています。自社施工なので、営業が仕事を請け負ってきてから、スピード感をもって対応できます。これが、施工部隊を外注していると、外注先の空き状況を確認するなどの手間がかかり、結果的に施工全体が遅れます。その点、当社は職人を全員自社で抱えているため、ワンストップ体制が整っており、機動性が高いことが強みです。
また、職人仕事を下請けに出すと責任の所在が不明確になりがちですが、職人の直雇用によって、スピード感に加えて、お客様からの要望もダイレクトに受け止め、反映できるメリットもあります。

直雇用の職人が活躍
――各家庭で施工するため、タバコの臭い以外にもマナーや身だしなみも重要だと思いますが。
鈴木さん 当社は、”コテコテ”の職人ではなく、サラリーマンの色合いが強いので、お客様と身だしなみ等でトラブルになるようなことはありません。
自社施工なので職人とお客様の間に営業マンが入ることも多いですし、職人たちも見た目に気を遣ったり挨拶をきちんとすることを徹底しているので、仕事も円滑に進められます。
鶴岡さん 施工部隊の礼儀礼節はしっかりしているので、お客様からの印象は良好だと思います。
一般的に、職人の身だしなみは悪いというイメージもありますが、当社ではお客様の家に入る時には、靴下を履き替え、工事の際もお客様の家回りを掃除してから始めるなど、独自の教育をしてから現場に出すので、「細かい礼儀まで重んじて工事をしてくれるので安心できる」というお客様や提携先の企業様からの評価につながっていると思います。

礼儀礼節で客先から高い評価の施工部隊
――自社職人は、どのように育成していますか?
鈴木さん 最近は、職人志望でもおとなしい学生が多い印象です。そのため、当社では「俺の背中を見て学べ」という育成方針ではなく、手取り足取り、個々人のできる範囲から徐々に教えていきます。
職人の世界では「俺の背中を~」という育成方針もあると思いますが、私は新しく入社された人には、少しずつ仕事に慣れていって、覚えてほしいんです。
まずはやって見せて、次に実際にやらせてみて、仮に失敗してもリカバリーできる、というところまでを実地で教えています。その作業がある程度、満足にいけば、さらに難しい仕事を教えていきます。
また、エリアによって工事のやり方は異なるので、教育内容も変えています。雪が多い東北では施工環境もまったく違うので、エリア長がそのエリアにあった施工方法を指導しています。
素晴らしい取り組み