国費による新幹線整備に向け法律改正を
――現行の整備新幹線というスキームは非常に問題があると思いますが。
西田昌司議員 私もそう思います。整備新幹線スキーム、公共事業方式はやめるべきであり、全額国費で整備すべきだと考えています。当然、地元負担はゼロにすべきです。
もともと東海道新幹線は、国鉄が整備したもので、地元負担はありませんでした。だからスムーズに整備できたんです。並行在来線の問題もなくなります。しかし、地元負担がある限り、新幹線整備に反対する自治体は必ず出てきます。そんな状況では、新幹線はいつまで経ってもできません。
その典型が、九州新幹線西九州ルートです。長崎県は新幹線を通したいけども、佐賀県は反対しています。その一番の原因は地元負担です。
――全額国費で整備するために必要なことは?
西田昌司議員 まず法律を変えなければいけません。そのために私は、自民党の整備新幹線等調査会を通じて、岸田文雄政調会長に対し、法律を変えるように言ってきました。2018年に調査会の下に「鉄道のこれからを考えるPT」が設置され、私が座長を任されています。2019年には、PTとして、新幹線の早期整備に向けた国費増額などを盛り込んだ提言をまとめ、岸田政調会長に手渡しました。
今やっているのは、2020年度の政府の骨太の方針の中に、国費による新幹線整備に向けた法律改正を盛り込むように動いています。
JRは、ホールディングス化で経営を一本化すべき
――JR北海道やJR四国は赤字まみれです。
西田昌司議員 私は、そもそも国鉄を7社に分割したのが間違いだと考えています。民営化するのであれば、7社のJRの上にホールディングス会社をつくり、経営は一本化させるべきだと考えています。
国鉄が民営化された当時は、占領中につくられた独占禁止法、要するに財閥解体法のために持株会社が禁止されていたので、それができなかったんです。今では持株会社は普通にあります。財閥の復活ですよ。これに習って、JRもJRホールディングスをつくれば良いんです。
JRの上場株の額面を合計すると、だいたい7〜8兆円ぐらいになります。多く見積もっても、10兆円あれば、政府はすべてのJR株を買えるわけです。購入財源は国債でも財投債でも良いんです。株の配当は1000億円ほどあるので、株を10年持っていれば、1兆円が政府のサイフに入るわけです。こんなメリットのある話はありません。再度民営化する場合は、株を売れば良いわけです。
ただ、政府はJR株を全部売るべきではないと考えています。半分、3分の1でも政府が持っておくべきです。鉄道という国家の根幹を成すインフラを完全に民営化すること自体が間違っているからです。まともな国家の中で、鉄道をすべて民間がやっている国家はありません。国のインフラである以上、「儲からない路線なのでやりません」ということがあってはなりません。どこの国でも国が責任を持って鉄道をつないでいるわけです。
JR民営化には、もちろんプラスの面はあります。しかし、本来国家がやるべき仕事を民間に任せるのは、国家の責任放棄に過ぎません。政府はしっかり反省して、JRの経営に一定の責任を持つべきなんです。JRの経営一本化がベストですが、次善策として、JR北海道はJR東日本と、JR四国はJR西日本とそれぞれ経営統合するという選択肢もあり得る。私はそう考えています。
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法律的な制度改正も重要ですね。
建設の仕方として、局所的な新線建設を積み重ね、ある程度まとまった区間が繋がった時点でフル規格新幹線に切り替える、という手法も必要ではありませんか。
なぜなら、今の整備新幹線はまとまった区間で建設するありかたになっており、それもまた全国的な整備・建設の支障になっていると考えられるからです。高速道路のように局所的な建設を積み重ね最終的に全線開通させる、という手法を新幹線でも行なうべきです。
その局所的な新線建設をしている期間はいわゆる「スーパー特急方式」で暫定的に運行。但し、そのスーパー特急方式も狭軌在来線車両では時速200km運転は難しいという話を聞いたことがありますので、およそ時速170kmくらいの運転を認める。場合によっては「新幹線」の法律的な定義を「時速170km以上で運行する鉄道」に変更することも必要だと考えます。