東京ビッグサイトの使用制限は”人災”
――東京五輪の延期で、東京ビッグサイトの使用制限も延長された。
石森隆太郎氏 この問題は、2階建てになっているんです。東京五輪開催が決定してから、約半分に当たる規模の東館が使用できなくなり、多くの展示会が中止・延期に追い込まれました。これを何とか打開するため、関係各所に訴求をしておりましたが、打開策はなかなか見出すことができませんでした。
その一方で、2020年の東京五輪開催に向け、アスリートや関係各位の皆さんも大変な準備されていることは重々称しておりました。東京五輪が無事終われば、2020年の末からは東京ビッグサイトを使用することができ、出展社や支援企業は頑張って行こうとしていたわけです。
そんな中で、新型コロナウイルスの影響により東京五輪が延期され、IOCへの東京ビッグサイトの貸し出しもそのまま1年ずれこむことになりました。その上に新型コロナウイルスによる景気悪化もあり、展示会業界は三重苦に見舞われています。
新型コロナウイルスは天災に近いですが、東京五輪延期に伴う東京ビッグサイト使用制限は”人災”ととらえてもいいのではないか、というのがわれわれ展示会業界の見解です。
展示会中止で、全産業の営業活動が停滞する
――このままだと、倒産や休廃業・解散が相次ぐ?
石森 そういうことになると思います。倒産はすでに展示会業界でも始まっておりますし、装飾施工会社を含め支援企業も廃業を検討しているところは多いと思います。体力のある会社は、解散を選択することもあるでしょう。
また、出展社企業にとっても、出展会場が使えなくなるインパクトは大きい。展示会に足を運ばない方はイメージしにくいかと思いますが、売上高の7割以上を展示会場で計上している中小企業は無数にあります。こういう企業が今から展示会以外の販路を築いて、売上を伸ばすことが現実的かどうか。このまま放置していくと、小さくない影響がほぼ全産業に渡ることが想定されます。
――各産業の展示会は毎年決まった時期に開催されるため、展示会に合わせて技術開発を行っている企業も多い。
石森 展示会は、毎年毎年の積み重ねです。企業活動において、展示会はカレンダーに組み込まれており、その展示会に向けて新商品や新サービスを開発し、会期中に商談等が成立する。展示会と各産業のつながりは深いんです。
そのスケジューリングが壊れれば、営業活動へのダメージも大きい。今後の出展社企業の活動も限定的、部分的になってしまう懸念もありますし、余力のない企業がどうなっていくかは、あまり論を待たないことになるのではないでしょうか。